お前と上手くやる同棲テクそのいち 素直
「俺ありさかのそういう人たらしなとこほんと嫌ーい」
「…はぁ?」
俺の部屋の入口に寄りかかってふんぞり返るだるまはとにかく機嫌が悪そうだった。
「優しくしすぎなんやって。女の子にそれやったら俺ほんと、耐えられんわ」
「優しくって、ロストしちゃったものと装備ちょっとあげたくらいやん」
「くらい!?お前それロストする度に、毎回、誰にでもやるやん!!」
「うるさいなぁ…」
声を張り上げるだるまに文句を言ったのが良くなかったらしい。
「は?」
さらに機嫌が悪そうになっただるまは大股にこちらに近付いてきた。
「あんな、俺はほんとはありさかに誰とも会ってほしくないし増してや話してほしくない。お前が嫌だろうからせんけど、やりようはいくらだってあるんやで?」
瞳孔ガン開きで完全にキマってる。だるまはちょっとこう、ヤンデレみたいなとこがある。愛されてるけど、中々重い感情を向けられてるなとは思う。
「ふは、俺に力で勝てないくせに笑」
軽く笑って流そうとすると、今度もまた失敗したらしい。怖い表情のままだるまは俺の机の引き出しに手を突っ込んだ。
「え…なに」
「力が全てじゃないけどな」
取り出したのはスプレーで、俺がそんなものを入れていた記憶は無い。
「なにそれなんで俺の机にあんの」
「俺って用意がいいねんなぁ」
それには答えないままだるまの顔が近づいてくる。少し引くと強い力で阻まれた。乱暴にキスされたあと、息を吸おうとしたその一瞬の隙間にティッシュを挟まれた。何が何だか分からないまま息を吸ってしまって、くらりと頭が揺らいだ。少し満足そうに笑っているだるまの顔がぼやける。こいつホンマ、人としてアカンことしてるだろ。
ぱち、と目が覚めるとベッドの上で、拘束されているわけでも金玉が握りつぶされているわけでもなかった。ただ睡眠薬かなんかのせいで頭が痛かった。
痛まないようにゆっくり頭を回すと、俺が座っていた椅子の近くで丸くなっているパーカーが見えた。
「だるま?」
「ぅあ、」
急に声をかけられて驚いた様子のだるまがこちらを振り返った。何も言わずに見つめていると、罪悪感に負けたのか、だるまが話し出した。
「…悪かった、その…お前ばっか色んな人と仲良くて、不安になった。…変なことしてごめん」
「いいよ。平気だし」
「なんでそんな簡単に許すかなぁ…」
だるまはそう言いながら呆れたように頭をかいた。あれ、それやるのって俺側じゃないんか。
「…お前がこんなこと言うなって思うやろうけど」
「思ってる」
「よな、すまん。…でもこんな、薬使って無理やりどうとでとしてくるような奴、頭イカれとるやろ!そんな奴許したらアカンし、相手が俺じゃなきゃソッコー別れるべき!!」
「じゃあお前と別れるってゆったら?」
わざわざ"俺じゃなきゃ"と前置きしているのを無視してでも、俺はこのけったいな生き物を突きたかった。おかしな奴だ、常識と狂気を半分ずつ持ち合わせていて、二重人格みたいな奴だ。俺の問いに目を見開いて、困った顔でウンウンと唸っている辺りやはりクレイジーだ。
「…無理」
俯いた小さい声でそう結論づけるから面白い。
「ごめんなありちゃん。ほんとは俺が『他の奴に目移りなんか差せん』って言えるくらい幸せにしてやりたいんやけど……自信、なくて」
申し訳なさそうにするだるまは明らかに凹んでいて、自己嫌悪の感情が言葉の節々から覗いていた。
「そんなのお互い様やん、俺だってお前のこと幸せにしてやりたいけど、自信なんてないよ」
「俺は、ッ俺はありちゃんとおるだけで幸せやでっ?」
「お前恥ずかしいこと言うね笑」
俺の言葉に甲斐甲斐しく反抗、いや肯定?してくれるのは素直に嬉しい。
「ほんとのことやもん」
「でも俺が色んな人に優しくするからお前不安になったやろ。それは俺の落ち度。やっぱお互い様なんやって」
「でも、…でもぉ…俺はありさかとおるだけで楽しいけど、俺はありさかになんもできてないやん、そんなだからありさかが他の人んとこ行っちゃうんやないかって怖くなる…」
悲しげな声。そこに普段の気丈さは微塵も感じられなかった。
「ばーか恥ずかしいこと言わすなよ、俺もお前と同じやって」
適当に頭を撫でるとだるまの気配に元気が溢れたのが手のひらから伝わって、こちらまで嬉しくなってしまう。
「えっ…え!ありちゃんそれって」
「お前の都合のいい方に解釈して合ってるよ」
「ほんま!?そうなると"だるま好き♡宇宙一大好き♡あれやこれやはほんとは全部俺を嫉妬させるためにやってたの♡♡ごめんね大好きだよ♡♡♡"ってなるけど大丈夫そ!?!?」
「うーんギリ正解か…」
「やったー!?!?俺も大好き!!!!」
好きな人と上手くやっていく毎日は、擽ったくて楽しい。
「…はぁ?」
俺の部屋の入口に寄りかかってふんぞり返るだるまはとにかく機嫌が悪そうだった。
「優しくしすぎなんやって。女の子にそれやったら俺ほんと、耐えられんわ」
「優しくって、ロストしちゃったものと装備ちょっとあげたくらいやん」
「くらい!?お前それロストする度に、毎回、誰にでもやるやん!!」
「うるさいなぁ…」
声を張り上げるだるまに文句を言ったのが良くなかったらしい。
「は?」
さらに機嫌が悪そうになっただるまは大股にこちらに近付いてきた。
「あんな、俺はほんとはありさかに誰とも会ってほしくないし増してや話してほしくない。お前が嫌だろうからせんけど、やりようはいくらだってあるんやで?」
瞳孔ガン開きで完全にキマってる。だるまはちょっとこう、ヤンデレみたいなとこがある。愛されてるけど、中々重い感情を向けられてるなとは思う。
「ふは、俺に力で勝てないくせに笑」
軽く笑って流そうとすると、今度もまた失敗したらしい。怖い表情のままだるまは俺の机の引き出しに手を突っ込んだ。
「え…なに」
「力が全てじゃないけどな」
取り出したのはスプレーで、俺がそんなものを入れていた記憶は無い。
「なにそれなんで俺の机にあんの」
「俺って用意がいいねんなぁ」
それには答えないままだるまの顔が近づいてくる。少し引くと強い力で阻まれた。乱暴にキスされたあと、息を吸おうとしたその一瞬の隙間にティッシュを挟まれた。何が何だか分からないまま息を吸ってしまって、くらりと頭が揺らいだ。少し満足そうに笑っているだるまの顔がぼやける。こいつホンマ、人としてアカンことしてるだろ。
ぱち、と目が覚めるとベッドの上で、拘束されているわけでも金玉が握りつぶされているわけでもなかった。ただ睡眠薬かなんかのせいで頭が痛かった。
痛まないようにゆっくり頭を回すと、俺が座っていた椅子の近くで丸くなっているパーカーが見えた。
「だるま?」
「ぅあ、」
急に声をかけられて驚いた様子のだるまがこちらを振り返った。何も言わずに見つめていると、罪悪感に負けたのか、だるまが話し出した。
「…悪かった、その…お前ばっか色んな人と仲良くて、不安になった。…変なことしてごめん」
「いいよ。平気だし」
「なんでそんな簡単に許すかなぁ…」
だるまはそう言いながら呆れたように頭をかいた。あれ、それやるのって俺側じゃないんか。
「…お前がこんなこと言うなって思うやろうけど」
「思ってる」
「よな、すまん。…でもこんな、薬使って無理やりどうとでとしてくるような奴、頭イカれとるやろ!そんな奴許したらアカンし、相手が俺じゃなきゃソッコー別れるべき!!」
「じゃあお前と別れるってゆったら?」
わざわざ"俺じゃなきゃ"と前置きしているのを無視してでも、俺はこのけったいな生き物を突きたかった。おかしな奴だ、常識と狂気を半分ずつ持ち合わせていて、二重人格みたいな奴だ。俺の問いに目を見開いて、困った顔でウンウンと唸っている辺りやはりクレイジーだ。
「…無理」
俯いた小さい声でそう結論づけるから面白い。
「ごめんなありちゃん。ほんとは俺が『他の奴に目移りなんか差せん』って言えるくらい幸せにしてやりたいんやけど……自信、なくて」
申し訳なさそうにするだるまは明らかに凹んでいて、自己嫌悪の感情が言葉の節々から覗いていた。
「そんなのお互い様やん、俺だってお前のこと幸せにしてやりたいけど、自信なんてないよ」
「俺は、ッ俺はありちゃんとおるだけで幸せやでっ?」
「お前恥ずかしいこと言うね笑」
俺の言葉に甲斐甲斐しく反抗、いや肯定?してくれるのは素直に嬉しい。
「ほんとのことやもん」
「でも俺が色んな人に優しくするからお前不安になったやろ。それは俺の落ち度。やっぱお互い様なんやって」
「でも、…でもぉ…俺はありさかとおるだけで楽しいけど、俺はありさかになんもできてないやん、そんなだからありさかが他の人んとこ行っちゃうんやないかって怖くなる…」
悲しげな声。そこに普段の気丈さは微塵も感じられなかった。
「ばーか恥ずかしいこと言わすなよ、俺もお前と同じやって」
適当に頭を撫でるとだるまの気配に元気が溢れたのが手のひらから伝わって、こちらまで嬉しくなってしまう。
「えっ…え!ありちゃんそれって」
「お前の都合のいい方に解釈して合ってるよ」
「ほんま!?そうなると"だるま好き♡宇宙一大好き♡あれやこれやはほんとは全部俺を嫉妬させるためにやってたの♡♡ごめんね大好きだよ♡♡♡"ってなるけど大丈夫そ!?!?」
「うーんギリ正解か…」
「やったー!?!?俺も大好き!!!!」
好きな人と上手くやっていく毎日は、擽ったくて楽しい。
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