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【デュオメ】体温



「ほら、寒いだろう。」

オメガモンがふるりと体を震わせたことに、デュークモンは気づいたようだ。自分の首元に巻いていたマフラーを外すとオメガモンの首元に優しく巻き付ける。デュークモンの温もりが冷えた首元をじわじわと暖めた。震えは隠していたつもりだったのに。こういう所は敵わないなと思いながら、オメガモンは「助かる」とだけ呟いてマフラーに顔を埋めた。肌を刺すような冷たい風が吹く度に、デュークモンにもらったマフラーの温もりを感じるのがとても心地よかった。

ふと、視線だけをデュークモンに向ければ、風が吹く度に震えを抑えようと肩をすくめる姿が見えた。それもそうか、彼は先程までこのマフラーを巻いて暖をとっていたのだ。このままではデュークモンが風邪をひいてしまいそうだとオメガモンは頭の中で思う。しかしどうせ返すと言っても受け取って貰えないのは目に見えていた。ふむ、とオメガモンは考え込むと、ふと何かを思いついたように顔を上げ、デュークモンとの距離をつめる。するりと優しく手を握れば、デュークモンは分かりやすく体をびくりと震わせた。

「お、オメガモン…?」

声が震えているぞ、と指摘すれば彼は意地を張って手を離してしまうかもしれない。オメガモンはそんなことを思いながら彼らしくない震え声に笑みを噛み殺していた。
ぎゅ、と握る力を強めれば、デュークモンもこたえるように握り返してくれた。お互い冷たい風に当てられて冷えているはずの手は、重ねるだけで何よりも体温を感じられた。
手を繋ぎ直し腕を絡ませれば、お互いの距離はゼロになる。寒さのせいか頬を少しだけ赤く染め、わざとらしく目を逸らしながらぎこちなく歩くデュークモンの姿に、オメガモンは堪えきれずふふ、と笑みをこぼしてしまった。

「オメガモン!」

「ふふ、いやすまない。」

笑われたことが気に入らないのか、デュークモンは拗ねたように顔を顰めた。こんな姿が見れるのも自分だけの特権だ。

「……これならどちらも暖かいだろう?」

はにかむようにオメガモンが笑えば、デュークモンはぐっ、と緩む表情を押さえた。オメガモンは無意識に可愛らしい顔をする時がある。無意識に、だ。心臓に悪すぎるからやめて欲しいのだが無意識なのだから仕方ない。
デュークモンはゆっくりと顔をちかづける。ちゅ、と控えめな音を鳴らしてその唇に触れればすぐに顔を離した。ぽかんと固まるオメガモンに、これが戦いの場ならお前の命はもうないぞ、などと物騒なことを思ってしまった。じわじわと頬を赤くするオメガモンを見て、次はデュークモンが微笑んだ。

「こっちの方が温まりそうだな。」

意地悪そうにデュークモンがそう言えば、オメガモンはぐっ、と目を逸らした。

「……心臓に悪いからやめてくれ。」

「はは、そうだな。時々にする。」

「おい……」

嫌ではないがな、そんな本音は飲み込みながら、オメガモンはもう一度デュークモンに擦り寄った。


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