【:ヤマ太(♀)】小話
「どうしたんだやまと、そんな難しい顔して。」
「………。」
大人二人分と、まだ離乳食を始めて間もない子ども二人分の小さな皿を洗い終え、太一は手を拭いながらリビングへと戻った。この時間はいつも役割分担をして子の世話や家事を行う。やまとはちょうど子ども二人の風呂を済ませたところだった。
そんな中、子を自由にさせながら難しい顔をして座り込むやまとに、太一は不思議そうに声をかけた。やまとはそれに気付いて顔を上げると、珍しく困ったように眉を下げた。
「……いや、実は、…あ、痛い……」
「ん? あ、こら! またパパの髪引っ張ったの? 痛い痛いしちゃうだろ〜。」
「あ〜、ぅ、」
「あぁ〜〜!」
容赦なく髪を引っ張る二人の子の手を優しく包み込み、やんわりと離してやる。イタズラができないように二人揃って太一の膝に座らせると、腕で固定した。まだ遊び足りなかった二人は不満そうに声を上げている。
「……結構子どもって力強いよな。」
「見かけによらずというか、手加減がないからなぁ。」
引っ張られたところを優しく撫でながら、やまとは何とも言えぬ顔をする。自分の子だから何しても可愛くて仕方ないのだが、痛いものは痛い。
「だが、何故こうも俺の髪ばかり狙うんだろうか。」
前からやまとの姿を見てはその小さな瞳で追いかけたり、あぅあぅ声を上げることがあったが、最近はつかまり立ちを習得して活動範囲を広げた途端、執拗にやまとの髪を狙うようになった。しかも二人とも、だ。
「それはね、やまとの髪がきらきらしてるからだよ。」
やまとの金糸を指で優しくときながら、太一は愛おしそうに目を細めた。
「太陽の光とか、部屋の電気とかでね、きらきら輝いてるのが綺麗なの。きっと子どもたちもそれが気になっちゃうんだろうね。」
太一の手を、やまとは気持ちよさそうに微笑んで受け入れる。やまとよりもうんと小さいその手は、やまとよりも温かい。
「子だって金髪だろう。」
「この子も確かにそうだけど、やっぱりおれの遺伝子も入ってるから若干茶色が混ざってる。綺麗だけど、やまととは違うんだ。」
子どもの一人はやまとと同じ金糸の髪を持っているが、若干色が違った。瞳の色も、青がかっているものの少し暗めだ。
「あぅ〜、あぶ、ぶー」
「あきゃ、ぁ〜、ぶぶぶ」
太一が触っているのに、自分たちが触れないのは不満なのか、二人の方に手を伸ばして不満げに声を上げている。口から溢れた涎をティッシュで拭ってやる。
「……次は髪を食われそうだ。」
「金糸の食べ物かぁ〜」
「こら、たいち。」
やまとに怒られて、太一はくすぐったそうに笑う。頭を撫でる太一の手を優しく下ろすと、次はやまとが太一の鳶色の髪を撫で始めた。甘えるように太一もその大きな手に擦り寄る。その手は髪を堪能すると耳を擽り、頬へと流れ落ちる。そのまま顎を少し上げさせられ、親指で唇を撫でれば、太一は目を瞑った。ちゅっ、とわざとらしく音を立てて唇を食まれる。そのまま何度も角度を変えて唇を押し付けられたあと、ぢゅう、と喉を吸われた。
「っ、あ、」
思わず喉が鳴る。太一はそっとやまとの唇に人差し指を当てる。
「もう、……まだ子がいるからだめだよ。」
「……すまない。」
「んーん、……二人が寝たら、やまとの好きにしていいからね。」
その誘いに、やまとは頷く。もう一度名残惜しそうに唇を食むと、子を抱いて立ち上がった。
「もう八時だしな。寝かしつけるか。」
「うん、そうだな。」
太一もそれに合わせて立ち上がると、二人揃って寝室へと向かった。
「………。」
大人二人分と、まだ離乳食を始めて間もない子ども二人分の小さな皿を洗い終え、太一は手を拭いながらリビングへと戻った。この時間はいつも役割分担をして子の世話や家事を行う。やまとはちょうど子ども二人の風呂を済ませたところだった。
そんな中、子を自由にさせながら難しい顔をして座り込むやまとに、太一は不思議そうに声をかけた。やまとはそれに気付いて顔を上げると、珍しく困ったように眉を下げた。
「……いや、実は、…あ、痛い……」
「ん? あ、こら! またパパの髪引っ張ったの? 痛い痛いしちゃうだろ〜。」
「あ〜、ぅ、」
「あぁ〜〜!」
容赦なく髪を引っ張る二人の子の手を優しく包み込み、やんわりと離してやる。イタズラができないように二人揃って太一の膝に座らせると、腕で固定した。まだ遊び足りなかった二人は不満そうに声を上げている。
「……結構子どもって力強いよな。」
「見かけによらずというか、手加減がないからなぁ。」
引っ張られたところを優しく撫でながら、やまとは何とも言えぬ顔をする。自分の子だから何しても可愛くて仕方ないのだが、痛いものは痛い。
「だが、何故こうも俺の髪ばかり狙うんだろうか。」
前からやまとの姿を見てはその小さな瞳で追いかけたり、あぅあぅ声を上げることがあったが、最近はつかまり立ちを習得して活動範囲を広げた途端、執拗にやまとの髪を狙うようになった。しかも二人とも、だ。
「それはね、やまとの髪がきらきらしてるからだよ。」
やまとの金糸を指で優しくときながら、太一は愛おしそうに目を細めた。
「太陽の光とか、部屋の電気とかでね、きらきら輝いてるのが綺麗なの。きっと子どもたちもそれが気になっちゃうんだろうね。」
太一の手を、やまとは気持ちよさそうに微笑んで受け入れる。やまとよりもうんと小さいその手は、やまとよりも温かい。
「子だって金髪だろう。」
「この子も確かにそうだけど、やっぱりおれの遺伝子も入ってるから若干茶色が混ざってる。綺麗だけど、やまととは違うんだ。」
子どもの一人はやまとと同じ金糸の髪を持っているが、若干色が違った。瞳の色も、青がかっているものの少し暗めだ。
「あぅ〜、あぶ、ぶー」
「あきゃ、ぁ〜、ぶぶぶ」
太一が触っているのに、自分たちが触れないのは不満なのか、二人の方に手を伸ばして不満げに声を上げている。口から溢れた涎をティッシュで拭ってやる。
「……次は髪を食われそうだ。」
「金糸の食べ物かぁ〜」
「こら、たいち。」
やまとに怒られて、太一はくすぐったそうに笑う。頭を撫でる太一の手を優しく下ろすと、次はやまとが太一の鳶色の髪を撫で始めた。甘えるように太一もその大きな手に擦り寄る。その手は髪を堪能すると耳を擽り、頬へと流れ落ちる。そのまま顎を少し上げさせられ、親指で唇を撫でれば、太一は目を瞑った。ちゅっ、とわざとらしく音を立てて唇を食まれる。そのまま何度も角度を変えて唇を押し付けられたあと、ぢゅう、と喉を吸われた。
「っ、あ、」
思わず喉が鳴る。太一はそっとやまとの唇に人差し指を当てる。
「もう、……まだ子がいるからだめだよ。」
「……すまない。」
「んーん、……二人が寝たら、やまとの好きにしていいからね。」
その誘いに、やまとは頷く。もう一度名残惜しそうに唇を食むと、子を抱いて立ち上がった。
「もう八時だしな。寝かしつけるか。」
「うん、そうだな。」
太一もそれに合わせて立ち上がると、二人揃って寝室へと向かった。