【タケ大】小話詰め
「大輔くんってコーヒーにミルクも砂糖も入れるよね。甘くない?」
ずずっ、と音を鳴らしながら満足そうに飲んでいた大輔は、タケルのその言葉にきょとんとした顔で振り向く。
「んだよ、だってコーヒー苦いじゃんか。」
「うーん、そうだけどさすがに甘過ぎないかなって」
「えーそんなことねぇけどな。」
大輔はもう一度自身のコップに口をつけるとごくっ、と一口飲む。
「ん!やっぱり美味しい!甘い方がオレは幸せだな~!」
「大輔くんは子どもだねぇ~」
「あ!今バカにしたな!?」
きゃんきゃんと吠える大輔を宥めながらタケルは苦笑する。その甘さとミルクの量だと最早コーヒー牛乳なのでは?なんて思ったが、そんなことを言えば次は噛みつかれるかもしれない。
ぽちゃんっ
ふと、何かが液体へと落ちる音。タケルが自分のカップに目を向けると、反動で一瞬だけ浮いてきた角砂糖が姿を表し、コーヒーの闇へ溶けていく。隣を見れば、にぱっ!っと笑う恋人と目が合い。
「幸せのおすそ分け!」
あぁ、ほんとに君には敵わないなぁ。
「……今のはズルすぎるよ大輔くん。」
「へん!油断してたおめーがわりぃんだよ!」
意味わかってないじゃん、そんなことを頭の中で呟きながら幸せが溶けたコーヒーへ口をつける。いつもは味わない甘ったるさが口に残るが、不思議と不快はなかった。
「………やっぱり甘すぎるかも。」
だからこの幸せは君にあげるね。
幸せのおすそ分け、そうタケルは呟くと、けたけた笑う大輔へ口付けた。
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