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800字ssシリーズ

「んっ………ふっ、ぁ、………んぅ…?」

「ん?…あぁごめんね、髪落ちちゃったね。目、大丈夫?」

「んー、目ぇ瞑ってたからだいじょぶ…」

ゆっくりと口を離し、つぅ、と繋がる糸を手の甲で拭いながら、丈は眉を下げた。太一はぱさぱさと顔に降りかかる紺青色の髪を優しく指で掬い、ゆっくりと耳にかけてやる。丈は優しくその手を取ると、ちゅっ、と音を立ててキスを落とした。

「ひひっ、くすぐったいよ、丈。」

くつくつと喉を鳴らして笑う太一に微笑みかけながら、丈はゆっくりと手を離した。太一はその手を丈の頭へ添えると、わしゃわしゃと触り始めた。

「なぁんか、知らない間に伸びたよなぁ。」

「うーん、いつか切ろう切ろうと思っていたらいつの間にかねぇ。」

案外細いその髪はするすると指から落ちていく。ぱさぱさと落ちていった髪は丈の頬を撫で、濡れた唇に張り付いた。

「ま、おれ、お前の髪好きだからいいけどさ。」

そう言って太一は微笑む。つま先立てて次は太一からキスをすれば、丈も受け入れるようにくしゃりと太一の頭を撫でた。何度か角度を変えてふにふにと唇を押し付けていると、とんとんと丈の舌が太一の唇を押す。太一はふっ、と息を吐くと口をやんわりと開け、舌を受け入れる。撫でるように上顎に舌を這わせ舌を絡めれば、どちらともわからない唾液が混ざりあって顎を伝う。丈がぐっ、と太一の腰を抱き寄せると、先程耳にかけたはずの髪がまたはらはらと落ちてお互いの濡れた口元に張り付いた。それに気づいた二人は目をぱちぱちと瞬きさせると、ぷはっ、と口を離す。

「わりぃ、丈の髪食べちゃったかも。」

「大丈夫だよ。髪、縛った方がいいかなぁ。」

「縛れるのか?」

「結構長いからね、横髪と後ろ髪は。」

そう言って丈はポケットから髪ゴムを取りだした。太一はそれを丈の手から奪い取ると、後ろに回って髪を束ねる。

「上手いんだね。」

「ヒカリにさ、人形の髪縛って~ってお願いされたりしてたから。」

太一はそのまま丈の髪に顔を埋める。さらさらと肌を撫でるのがくすぐったいけれど、なんだか心地よくも感じた。

「おれ、やっぱお前の髪好きだなぁ。」

「えぇ?僕の髪だけ?」

「そうとは言ってないだろ。」

くすくすと笑う丈から顔を離せば、二人揃ってぽすんとベッドに身を預け、体を近づけた。

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