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【光太】おやすみの時間



「んっ、ふふっ、…」

「……太一さん、何笑ってるんですか?」

「んぅん、なんか、こそばゆくて。」

太一はそう言うとまた喉からふふっ、と声をもらした。額、頬、首元、鎖骨と順番に啄むようなキスを落とせば、太一はふるっと体を震わす。

「もう、太一さんはムードとかあんまり気にしませんね。」

「はは、ごめん。」

「いいですよ、きらいじゃないですから。」

光子郎は微笑むと唇へとキスを落とす。

あ、今の顔好きだな。

太一は頭の隅でそんなことを思いながら目を瞑って受け入れる。ぺろっ、と光子郎の舌が太一の唇を舐める。太一はふっ、と息をこぼしてほんの少しだけ口を開ければ、光子郎もまた口角を上げてその舌を入れ込んできた。

「んっ、……ふっ、ぁ……ンン…」

熱に浮かされる。ぐつぐつと思考が溶かされていくのが自分でもわかり、太一はふわふわとした思考のまま目を閉じた。

「ふっ、……太一さん、寝ちゃうんですか…?」

「ん、ンン……寝ないよ…」

「目瞑ったままですよ。……気持ちいいですか?」

「んん~~……すごく………きもちぃから……」

ぽやぽやとした思考のまま素直に答える。口元から飲み込みきれなかった唾液が溢れて顎を伝っていく。光子郎はそれを指で優しく拭ってあげながら仕方ない人だと微笑んだ。

「太一さん、眠いならこのまま寝ましょう?」

「ん~~……やだ……まだ…こうしろーと……こうしてたい。」

太一はやんわりと光子郎の眠りへの誘いを断り腕を伸ばす。瞼が重くて何も見えない。手探りで光子郎の首元に手を回して優しく引いた。光子郎もそれに気づいて誘われるまま太一のすぐ目の前にまで体を横たわせる。

「光子郎、隣、来て。」

「はい。」

ぽんぽん、と隣を軽く手で叩いて誘えば、光子郎はぽすんと隣に寝そべった。太一はにへらと笑うと光子郎の髪をくしゃくしゃと撫でる。その手をすすすと頬にまで持ってくると、次は太一からキスをした。舌は入れず、啄むように何度も触れるだけのキスを落とす。ふにっ、とあたる感覚と頬を撫でてくれる少しだけ体温の低い光子郎の手が気持ち良い。胸の奥がじわりと熱くなる。

あぁ、オレ今幸せなんだな。
そんなことを考えながら太一は光子郎の手にすりすりと頬を押しつけた。

「太一さん、今日は甘えん坊ですね。」

「うるせぇやい…」

あぁだめだ、幸せなんだ。このままこの時間だけが続いて、……このまま……ずっと…………

「こうしろ……すきだよぉ……」





「……本当に、可愛い人ですね。」

光子郎は苦笑すると足元に畳んでおいた掛け布団を引っ張って太一へと掛けてやる。すぅすぅと規則正しい息を立てる恋人の姿を見てため息をついた。そこに負の気持ちは含まれてはいない。

家に来た時から少しぼうっとしているようだった。最近は授業や課題に追われていたようで目元にはほんの少しだけクマが見える。出会った頃からサッカー一筋だった太一はあまり夜更かしをしない。光子郎もそれがわかっているから、太一の目元にクマを確認した時少し不安だった。風呂から出るのもいつもより遅かったからきっと湯船に浸かりながら少しだけ眠ってしまったんだろう。

だからこうして身体の力を抜いてあげようと前戯は控えてキスだけにしていた。
光子郎は手を伸ばすと太一の髪を梳く。起こさないように額や瞼にキスを落とした。こそばゆいのは本当のようで、太一は寝ているのにくすくすと喉を鳴らす。

「………おやすみ、太一さん。」

こつんと額を合わせて体温を感じる。

僕もこの時間が幸せですよ、太一さん。
光子郎もまた目を瞑り、眠りへと誘われていった。

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