青くまどろむ
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先日の街での一件以来、凛音はスクアーロと顔を合わせていなかった。
正確に言えば――“会えていない”。
彼は任務続きで、屋敷に戻ってきても報告を終えるなりすぐに次の任務へ。
その背中を何度か遠くに見送ったが、会話すら交わせなかった。
(……あの人、本当に休んでるのかな)
助かると言えば助かる。
会うとまた胸がざわつくし、落ち着かない。
それでも、ここまで激務となると心配の方が大きくなっていた。
もやもやした気持ちを抱えたまま仕事を終え、凛音は談話室へ向かった。
紅茶とお菓子をカートに載せ、誰かしらいるであろう場所へ。
扉を開けると——
「ナイスタイミング♪」
「あ……(げっ)」
「お前、今嫌な顔しただろ」
入り口のソファに寝転がっていたベルフェゴールが、満面の笑みで紅茶のカップを差し出してきた。
凛音は素知らぬ顔を装って、丁寧に紅茶を淹れる。
ふわりと香りが立ちのぼり、談話室に落ち着いた空気が流れた。
「そういえば凛音さぁ、街でスクアーロに助けてもらったんだって?」
「……なんで知ってるんですか」
「ルッスーリアが言ってた」
(ああ……やっぱりルッスーリア様……)
予想はしていたが、実際に聞くと頭が痛くなる。
ベルは楽しそうに菓子を噛みながら続けた。
「俺のツレ発言で?」
「っ……! そ、それは、誰から聞いたんですか!?」
「マーモン」
(……あの赤ん坊……見てたの? しかも絶対金取る気だ……)
「アレは、その……場しのぎで……」
「うっわ、かわいそ~。むしろ救えない」
「なにがですかっ!?」
「ししっ。ま、いーんじゃね?」
ベルは意味深な笑みのまま、お菓子を一つ口に放り込む。
凛音は“話の意味が全くわからない”という顔で見つめるばかりだった。
やがてベルは「部屋戻るわ〜」と立ち上がり、ひらひら手を振りながら談話室を出て行った。
入れ替わるように――。
「珍しいね。凛音がここにいるなんて」
「マーモン様。紅茶とお菓子、召し上がりますか?」
「いただくよ」
静かな空気が戻り、ティーカップが触れ合う小さな音だけが響く。
話したいことはあったが、どう切り出していいかわからず、凛音は黙ってしまった。
すると、マーモンが唐突に切り込む。
「凛音はスクアーロのことが好きなの?」
「えっ!? ち、違います!!」
「へぇ。そうなんだ。かわいそうに」
ベルと同じセリフがさらりと口から出て、凛音は混乱した視線を送る。
マーモンは表情ひとつ変えず紅茶を啜りながら続けた。
「それ以上知りたいなら、料金を払って」
「……ちなみにいくらですか」
「おまけしてSランク1回分でいいよ」
「高いです!!!」
「なら教えられないね」
マーモンは冷静にそう言うと、まるで何事もなかったかのようにお菓子をつまむ。
凛音は恨めしそうな目で見つめたが、完全に無視された。
やがてマーモンは静かにカップを傾けながら、ふと心の中で思う。
(……スクアーロも報われないね)
冷たいようでいて、どこか優しい溜息がひとつ。
談話室には紅茶の香りだけが残っていた。
正確に言えば――“会えていない”。
彼は任務続きで、屋敷に戻ってきても報告を終えるなりすぐに次の任務へ。
その背中を何度か遠くに見送ったが、会話すら交わせなかった。
(……あの人、本当に休んでるのかな)
助かると言えば助かる。
会うとまた胸がざわつくし、落ち着かない。
それでも、ここまで激務となると心配の方が大きくなっていた。
もやもやした気持ちを抱えたまま仕事を終え、凛音は談話室へ向かった。
紅茶とお菓子をカートに載せ、誰かしらいるであろう場所へ。
扉を開けると——
「ナイスタイミング♪」
「あ……(げっ)」
「お前、今嫌な顔しただろ」
入り口のソファに寝転がっていたベルフェゴールが、満面の笑みで紅茶のカップを差し出してきた。
凛音は素知らぬ顔を装って、丁寧に紅茶を淹れる。
ふわりと香りが立ちのぼり、談話室に落ち着いた空気が流れた。
「そういえば凛音さぁ、街でスクアーロに助けてもらったんだって?」
「……なんで知ってるんですか」
「ルッスーリアが言ってた」
(ああ……やっぱりルッスーリア様……)
予想はしていたが、実際に聞くと頭が痛くなる。
ベルは楽しそうに菓子を噛みながら続けた。
「俺のツレ発言で?」
「っ……! そ、それは、誰から聞いたんですか!?」
「マーモン」
(……あの赤ん坊……見てたの? しかも絶対金取る気だ……)
「アレは、その……場しのぎで……」
「うっわ、かわいそ~。むしろ救えない」
「なにがですかっ!?」
「ししっ。ま、いーんじゃね?」
ベルは意味深な笑みのまま、お菓子を一つ口に放り込む。
凛音は“話の意味が全くわからない”という顔で見つめるばかりだった。
やがてベルは「部屋戻るわ〜」と立ち上がり、ひらひら手を振りながら談話室を出て行った。
入れ替わるように――。
「珍しいね。凛音がここにいるなんて」
「マーモン様。紅茶とお菓子、召し上がりますか?」
「いただくよ」
静かな空気が戻り、ティーカップが触れ合う小さな音だけが響く。
話したいことはあったが、どう切り出していいかわからず、凛音は黙ってしまった。
すると、マーモンが唐突に切り込む。
「凛音はスクアーロのことが好きなの?」
「えっ!? ち、違います!!」
「へぇ。そうなんだ。かわいそうに」
ベルと同じセリフがさらりと口から出て、凛音は混乱した視線を送る。
マーモンは表情ひとつ変えず紅茶を啜りながら続けた。
「それ以上知りたいなら、料金を払って」
「……ちなみにいくらですか」
「おまけしてSランク1回分でいいよ」
「高いです!!!」
「なら教えられないね」
マーモンは冷静にそう言うと、まるで何事もなかったかのようにお菓子をつまむ。
凛音は恨めしそうな目で見つめたが、完全に無視された。
やがてマーモンは静かにカップを傾けながら、ふと心の中で思う。
(……スクアーロも報われないね)
冷たいようでいて、どこか優しい溜息がひとつ。
談話室には紅茶の香りだけが残っていた。