ネモフィラの追憶
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「……私のこと、恨んでいいよ」
そう呟いたあいつの声は、酷く震えていた。
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暑い日差しに照らされ目を覚ます。
時計を見ると12時を丁度過ぎた頃だった。
「…チッ。またかよ」
何度繰り返したか分からない8月のカレンダーを睨みつけながら学校へ行く支度をする。
「(あの日までもう1週間もねぇ……糞が…段々と短くなってきてやがる)」
あいつを救えなかった忌々しい8月15日を境に世界は可笑しくなった様に8月15日までループが始まった。
最初こそ死んだ奴が生き返った事に驚きが隠せなかったが生きているのならそれでいいと思っていた。
だが世界はそんなに優しくないみてぇだ。
何故か8月15日きっかりにあいつは何らかの理由で命を落とす。
結果はいつも同じで、もう何度あいつの泣きそうな顔を見た事か。
そしてこれは勘だが、このままあいつを救えなかったらもう二度とあいつを取り戻す事は出来ない気がする。
実際にループする期間も徐々に短くなってきてやがる。
だからこれは勘なんかじゃねぇ
きっともう、時間がない。
でも救う方法がねぇ。んなのただの鬼畜ゲーと変わらねぇだろーがよ。
「(まあ、だからって諦めるなんて最も論外だけどなァ)」
今度こそは、絶対にあいつを救ってみせる。
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ピッ──ピッ──…
無機質な音が響く病室の中、蝉の声が嫌に大きく聞こえた。
「……早く起きてよ、かっちゃん」
未だ眠る君の手を握ってみるけれど、握り返ってくる事はなかった。