ネモフィラの追憶
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物言わぬ口唇に、息を吹き込んで。
今宵君と結ばれる。
────────祝福されぬまま。
.
ジョットは誰よりも私を愛してくれた。
この身体が永くは持たない事を知りつつも、残り僅かな時間を共に過ごし、大切に大切に愛してくれた。
だけど、どうしても終わりの時間はやってくるもの。
私の身体はもう医療の力でどうにかなるレベルじゃなかった。
…本当は死ぬのが怖かった。
いなくなってしまった人を、愛し続ける事は不可能だと思っていたから。
だから、忘れられるのが怖かった。
誰よりも愛おしい人に、忘れ去られ、過去の人となってしまうのが嫌だった。
「ねえ、ジョット。私は永くないけれど、どうか貴方にこの身体を託すから。だからどうか、死んでも私を愛してね」
それはまるで呪縛のように。
深く深く私達の心へ染み込ませた。
どうか忘れないで。
死んでも私を愛して。
これが歪んだ愛だと分かっている。
それでも、言わずにはいられなかった。
「勿論だよ。ずっとずっと君を愛しているんだから。」
ジョットは嬉しそうに笑って答えた。
.
白い肌に白いドレス。
美しい黒髪は月の光に照らされキラキラと輝いている。
「……名前、綺麗だ」
返事はない。でもそれで良い。
力なくぶら下がる腕を手に取り、星空の下でワルツを踊る。
腰に手を回しゆったりとクルクルと廻る。
まるで俺たち2人だけの世界みたいに、星たちは優しく見守っている。
ああ、嬉しい。堪らなく嬉しいよ。
やっと俺だけのものになった。
もう二度と動かない君だけど、それでも俺は最期まで君を愛していよう。
医者から、世間から、家族からまでもに見捨てられた哀れで可哀想な、俺だけの花嫁。
さあ、今宵君と結ばれる儀式をしよう。
ただの真似事かもしれないけれど、それでも君と結ばれるのならなんでもいい。
嗚呼、名前
────────愛している。
end.
今宵君と結ばれる。
────────祝福されぬまま。
.
ジョットは誰よりも私を愛してくれた。
この身体が永くは持たない事を知りつつも、残り僅かな時間を共に過ごし、大切に大切に愛してくれた。
だけど、どうしても終わりの時間はやってくるもの。
私の身体はもう医療の力でどうにかなるレベルじゃなかった。
…本当は死ぬのが怖かった。
いなくなってしまった人を、愛し続ける事は不可能だと思っていたから。
だから、忘れられるのが怖かった。
誰よりも愛おしい人に、忘れ去られ、過去の人となってしまうのが嫌だった。
「ねえ、ジョット。私は永くないけれど、どうか貴方にこの身体を託すから。だからどうか、死んでも私を愛してね」
それはまるで呪縛のように。
深く深く私達の心へ染み込ませた。
どうか忘れないで。
死んでも私を愛して。
これが歪んだ愛だと分かっている。
それでも、言わずにはいられなかった。
「勿論だよ。ずっとずっと君を愛しているんだから。」
ジョットは嬉しそうに笑って答えた。
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白い肌に白いドレス。
美しい黒髪は月の光に照らされキラキラと輝いている。
「……名前、綺麗だ」
返事はない。でもそれで良い。
力なくぶら下がる腕を手に取り、星空の下でワルツを踊る。
腰に手を回しゆったりとクルクルと廻る。
まるで俺たち2人だけの世界みたいに、星たちは優しく見守っている。
ああ、嬉しい。堪らなく嬉しいよ。
やっと俺だけのものになった。
もう二度と動かない君だけど、それでも俺は最期まで君を愛していよう。
医者から、世間から、家族からまでもに見捨てられた哀れで可哀想な、俺だけの花嫁。
さあ、今宵君と結ばれる儀式をしよう。
ただの真似事かもしれないけれど、それでも君と結ばれるのならなんでもいい。
嗚呼、名前
────────愛している。
end.