ネモフィラの追憶
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ずっとずっと貴方だけを愛しているのに。
貴方を忘れろなんて、どうして、そんな酷いことを言うの。
「わすれ、られる訳……ないじゃない…っ!!」
崩れ落ちた身体は力が入らなくて蹲るしか出来なかった。
感じたのはただただ深い絶望。
共に生きようと言ってくれたのは貴方なのに。
置いては逝かないと約束したのに…っ!!
「どうして……!!嫌よ、そんなの、嫌っ!!」
貴方が、杏寿郎さんが死んだなんて認めたくない。嘘よ、だって帰ってくると約束したもの。
あの人は守れない約束はしないから、これは嘘。嘘よ。
……だから早く嘘だって、言ってよ。
「名前さん……」
悲しそうな声で私の名を呼ぶのは、炭治郎くんだった。
嗚呼、貴方も悲しいのね。そうよね、本当は分かってるの。…ただ、認めたくないだけ。
けれど、どうしよもないこの深い悲しみと絶望は何処へぶつければいいの?
もう生きる意味さえ無くなってしまった私の命は何処へ向かえばいい?
胸が張り裂けそうなくらい痛いの。本当に痛いのよ、いっそ張り裂けてしまいたいくらい。
「杏寿郎さん……いやよ、どうしてっ…どうして、私を置いて、死んでしまったの…」
こんなにも、深く貴方を愛させておきながら、先に死んでしまうなんて。
なんて、酷い人なの。
顔を覆う掌から大粒の涙が零れ落ちて杏寿郎さんの形見である羽織を濡らしていく。
ああ、痛かったでしょう。苦しかったでしょう。
こんなにも沢山の血が流れ出たんですもの。辛かったに違いない。
そう思うと更に胸は苦しくなり、涙は止まることを知らないように溢れ続けた。