ネモフィラの追憶
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
貴方はとても酷い人。
俺を置いて逝くなとしつこく私に言ってきたのに、貴方は私を置いて逝ってしまったじゃない。
「…杏寿郎さん」
『私』が口に出した言葉が、何故か酷く心を痛めた。
.
私には前世の記憶があった。
それはそれは不思議な記憶で、おとぎ話でしか聞いた事のない『鬼』が実在していた時代。
私はその鬼達を倒す組織に属していた。
その名も────────『鬼殺隊』。
政府に非公認で結成されたその組織は平安時代からずっと続いていた。
当主、産屋敷耀哉を筆頭に私達は鬼を絶対殺すマンでどんどんと討伐していった。
そして物語の主人公とも言える竈門炭治郎及びかまぼこ組が登場する事で永きに渡る戦いは幕を閉じた。
しかし、失ったものは戻らない。それは当然の事。
戦いに勝ち、人々に安らぎが返ってきたけれど、大切な人は戻らなかった。
犠牲をゼロのままの戦争なんてありはしない。鬼殺隊であった私はそこら辺をよく理解していた。だから、大切な人を失い絶望する人達を見て、よく胸を痛めていた。
救えなくてごめんなさい。
守れなくてごめんなさい。
幸せな未来に、辿らせてあげられなかった。
両の手から零れ落ちた命は数えきれない。
あまりの多さに、ふとした時絶望や悲しみに飲み込まれそうになったが、そんな私を支えてくれる人がいた。だから私は頑張れた。
…けれど、その人は鬼との戦いで命を落とし、私を置いていってしまった。
とても悲しかったし、絶望した。
生きる意味なんて分からなくなるくらい。
その後は数年もしない内に、私もあの人を追うように流行病で命を落とした。
と、前世はヘヴィな人生だった私だが、今世は普通の女子高校生として生きている。今年が受験シーズンのラストJKだよ喜べ私。
前世の記憶?んなもん過去は過去、今は今!の精神で蹴散らしたよ??
だって私記憶はあるけど、その記憶とはまた別に思い出しちゃったんだよね。
それは前前世の記憶だけどさ。
まあよくあるアレだよ、ここ鬼滅の刃のキメツ学園じゃん!のやつ。
流石に2つの前世の記憶があるとは思わなかったから最初は混乱したけど、今となっちゃ平気だなんの。
しかも私別にそこまで推しに感情移入したりするタイプじゃないからか、前世の記憶を思い出しても特にどうこうとはいかなかった。
ただ、「あー、叶わなかった恋愛的なやつね?来世で逢いましょうみたいな??」てな感じで受け止めている。
だって今の私に出来ることって限られているし、相手は2つ年上の実習生の新米教師だ。普通に考えてもみろ。今はお互い大事な時期だし、そもそも相手が前世を引き摺っているとは限らない。
ならば普通に行こうではないか!まだ始まってない高校生活に夢を見て、いざ参r((殴
それにせっかく記憶あるならトリップを精一杯楽しもう!って思うじゃん?一応ヲタクの身でありますし。
…まあ、前世の記憶あるのはかまぼこ組だけなんだけどね。