ネモフィラの追憶
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「私ね、貴方に会えて嬉しかったんだよ?」
初めましてはお互い任務でだったよね。
二人共組織の人かと思ってハニトラ仕掛けちゃったりして、お互いが同じ組織って分かった時思わず笑ったりしてさ。
私、貴方の第一印象が硬い人って思ってたから、あんなに笑っているの見て、笑えるんだって思っちゃった。
「次はなんだっけ、……ああ、そうそう。貴方の友人?を救ったんだっけ?あれは思いがけなかったなぁ」
任務で使うセーフハウスのマンションにまさかの爆弾が仕掛けられてて、解除しようとしてたら防弾服着てない人が居たりしてさぁ。
あの人、あの後背中に大火傷したって聞いたけど大丈夫だったかな?
まあ、生きてるなら大丈夫か(笑)
そのすぐ後に今度は爆弾とランデブーしてる人が居るって通報入って応援に行けば立てこもってるしさ?犯人に爆弾の場所吐かせてなんとか解除したから良かったけど、危ないからもうしないでって言っといてね!
「みんな爆弾好きなのかな?ってくらい遭遇率凄かったよね!あれじゃあ心臓何個あっても足りないよ」
あと二人。
一人は、常日頃からもっと周りを見ること。常に自分の日常は危険が潜んでいるって事を伝えておいて欲しいな。あと、ナタリーさんとの結婚式行けなくてごめんねって言っといて!
「もう一人、スコッチね」
彼が同じ組織だってのはすぐに分かったよ。
相手は分かってなかったみたいだったけどね。
ネタバレした時の顔は傑作だったな〜、いつもキリッとした顔が崩れた瞬間?みたいな。
そこからはお互いに任務とか被った時仲良くさせてもらって嬉しかった。
ノックバレはなんとか防いだけど、組織に居られなくなったのは謝らなくちゃね。
でも、多分私は会えないだろうから幼馴染みの貴方が伝えておいて。
「あはは、なんだか伝言係になっちゃうね。…ごめんね、零くん」
でも貴方は優しいから、しょうがないなっていつも我儘を聞いてくれるよね。
今更だけど、ありがとう。
あのね、もっともっと伝えたい事はあるんだ。
でも、時間って有限じゃん?
そろそろ行かなくちゃ行けないみたい。
だから皆への伝言はこれで終わりね。
ああ、最後に一つだけ。
これは零くんへの伝言。
「どうか進むのをやめないで。私は充分幸せだったから。貴方に愛されて、貴方を愛すことが出来た。それだけでもう充分。だから、」
「もう、泣かないで」
貴方は強い人だけど、同時に誰かを深く深く愛しすぎてしまう人だから。
きっと私の死は貴方にとって酷く深い傷を残してしまったと思うの。
でもお願い、ここで立ち止まらないで。
零くんには前を向いて生きて欲しいの。
私の死を無かったことにするんじゃなくて、それを乗り越えて生きて欲しい。
それが今の私が1番伝えたい事。
「…ねえ、零くん。私はずっと貴方を愛しているからね。零くんがしわくちゃのおじいちゃんになってこっちに来るまで、私待ってるから」
だから、それまで頑張って生きてね。
私はずっと、天国から零くんを見守っているから。
――――
「………朝、か」
珍しくアラームが過ぎた後に目が覚め、時計を見るともう朝の7時半だった。
あいつが死んでからこんなにゆっくりと起きたのは久しぶりだ。
「なんだか酷く良い夢を見た気がする。……あいつが、夢に出てきたような…」
夢の内容はよく覚えていない。
でも、なんだか夢であいつにちゃんと生きろって言われた様な気がする。
「…分かっているさ」
失ったものは元に戻らない。
この悲しみが癒える事はないけれど、きっと乗り越えてゆける。
それをあいつも望んでいる。
「はは、……いつまでも泣いてばかりじゃ呆れられてしまうな」
少しずつでいい。
この悲しみを乗り越えていこう。
あいつを愛していた分、生きていこう。
そして、歳をとり天寿を全うした時、また会える事を楽しみにして。
「…ありがとう。そして、愛している」