背中合わせで伝える言葉
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最後のインターハイ予選
あんなに練習に付き合ってくれた彼女に
上から試合を見ていた彼女に
(また、あんな顔させちゃったな)
泣きそうな、でも
強くて優しい
そんな目をした彼女を盗み見た時は悔しくて堪らなかった
コートから出る
またこんなにあっさりと終わってしまった決勝戦
もう何度目だろう
いつもは彼女のところに行くけど
今は合わせる顔がない
涙目で後ろを振り返ると
背中を向けて去っていく彼女の姿
(頑張ってね、舞)
いつも遅くまで練習に付き合ってくれた
俺のトスのために何度も跳んでくれた
サーブだって二人でたくさん、それでも
(たりなかった)
まだ、あの場所には届かない
下を向いて控室までの道を歩く
目に入る右足の白いサポーター
(君は先に行っててよ)
控室のベンチに座りそっと右手で触れる
ちゃんと試合には応援に行くから
笑顔も声援もあげるから
だから
(こんな俺を許してね舞)
涙が床に落ちていく
(背負わす気はないけど
きっと俺のためにって
優しい君は考えてるんだろうね)
情けないな
「及川、試合見にいかねぇのか」
もうそんな時間か
「今行くよ」
「今度は勝つぞ」
!!!
みんなの表情が変わる
「当たり前だよ!岩ちゃん☆」
「うぜぇ」
目が変わっていくみんな
岩ちゃんは優しいなぁ
俺ちゃんと笑えてるかな
気が付けば女子の決勝が始まろうとしていて
青葉城西ベンチの近く
俺たちは彼女たちを見つめる
今回は託すよ
でも次は追い越すから
(舞・・・)
コートに入っていく彼女の背中はあの時と同じ
顔を合わせてもいないのに
(舞が考えてることぐらいわかるよ
ありがとう)
背中越しに優しさと強さが伝わってくる
後で慰めてね?
また俺のために跳んでね?
彼女はスパイカーで俺はセッター
役割は違うけど
夢は同じだから
「カッコよすぎだよ」
彼女はいつも通り振り返って
さっき俺が言った言葉を
いつものように言うんだ
「信じてるよ、お前ら」
そうやってコートに入っていくみんな
あーもう、本当に
(かなわないなぁ)
「頑張れ、舞!」
彼女は今日もコートを舞う
俺と同じ色のユニホーム
同じ名前
同じ番号を背負って
そうやって、彼女は先に進んでいった
(必ず追いつく)
彼女の背中を見て改めてそう決心した
『背中合わせで伝える言葉』
次は
次も
絶対勝つ
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