my sweet sweet home(香月ゲン)

「ゲン」

ドアに手をかけたところで呼び止められた。

「お前、バイト増やしたのか?」
「ん?ああ」
「ユイなー、全然お前と会えねーって、オレに相談に来たんだぜ?さっきも足音聞こえたから漫画バタバタとったけど、それまで泣きそうなツラしてたぞ。
まあ、彼氏のお前からしたら、誉められる行動じゃねーだろうが、もう少し構ってやれな」

あー・・・

「スマン、鮫、また来るわ」
「いや、もう来るな。マジで」

笑った鮫に見送られ、部屋を出る。

まだ近くにいるだろうと、単車に跨がろうとしたら、人影が動いた。

「うわっ!お前何やってんだよ!」
「何、って、ゲン待ってたんじゃない」


ったく、

部屋を出ていく時の、舌を出した顔を思い出し、
なかなか、かわいーんだよな、と、思わずニヤリとすると、ユイもへらりと笑う。


「追いかけて来なかったら、別れてやろうと思ったけどね」
「あー、悪かった。忙しさにかまけて、ほったらかしたのは、謝ります」
「よろしい。以後気を付けたまえ」

ふふっと笑ったその顔に、軽くキスする。
そうだそうだ、まだまだ全然惚れてんだよ、オレ。と再確認。

捨てられたら、たまんねーぜ。


「ねー、これからどうする?」





ー my sweet sweet home.ー






「「たっだいまー」」

「だから、お前らの家じゃねーだろっ!!」

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