君に、贈りたい言葉(柳臣次)

「瀬奈、ありがとう」


私の17歳の誕生日。

ケ―キもプレゼントも用意されたテ―ブルで、柳から送られた言葉は“ありがとう”だった。


「なんで柳が“ありがとう”なの?」


私のためにバイトも休んで、丸一日空けてくれたというのに。
“ありがとう”は私が言うセリフだよ?



柳は少し照れ臭そうに答えた。


「お礼を言いたいんだ」
「お礼?なんの?」

「俺と出会ってくれた16才の瀬奈に。
そしてこれからも俺といてくれる17才の瀬奈に。
勿論、“おめでとう”もだけどな」


柳の言葉に胸が詰まる、

何も言えなくて、
目頭がただただ熱くなる。



「なぁ、毎年こうして二人で年をとろう。

俺が腰の曲がったじ―さんになっても
瀬奈がしわくちゃのば―さんになっても

ずっと二人で“ありがとう”って年をとろう」


「なんか、プロポーズされてるみたい…」
「してんだよ」



堪えていた瞬きをひとつすると、
瞳から大きな滴がこぼれ落ちた。




「瀬奈、誕生日おめでとう。
お前の存在が俺の幸せで、俺の全てだから…

ここにいてくれて、ありがとう」

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