Valentine present(黒澤和光)



「で…和光何だって?」

「気になってんじゃない」


華はクスクス笑いだした。


………


「アキの誤解だってよ」
「へ?」
「無理矢理手渡された所を見られたんだって。
ちゃんと返したみたいよ?“オンナいるから”って」
「………」
「良かったね?」
「………うん」
「でさ、ついでに良いこと教えてあげようか?」
「なに?」
「待ってるんだって、正門前で」
「いつ?」
「今」


私はガタンと椅子を倒して立ち上がった。

「うそっ?!」

「ほんと。ずっと待ってたけど全然出てこないから電話したんだって」



愛されてるねぇ、と華はからかうように言う。



「早く行きなよ」

「………」

「どうしたの?」
「チョコ、食べちゃったから…」
「あ…」


「「………」」


机の上の空箱を見つめていると

「そうだっ。」


華が突然大きな声を出し「いいこと思いついた」と、にっこりした。


「何?」
「とにかく行こう!!」


机の上を片して私に鞄を手渡すと、
華は私の手を引き外に連れ出した。




「いいことって何?」

正門に向かいながらもう一度聞くと

コレっと、華は立ち止まり赤いリボンを見せた。

…チョコのラッピングリボン?



「アキ、小指だして?」

言われるままだすと、華はそのリボンを私の小指に結んだ。


「はい。OK。」
「は?」
「じゃあね!!」
「え?あ、ちょっと、ねぇ!」


華は私を残して、一人で正門に向かって走り出した。





ちょっと…意味、分かんないんだけど…


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