Valentine present(黒澤和光)

「ほんとにいいの?」
「いいのいいの、さ、食べちゃおう!」



放課後の教室、
私と友人の華の前には、綺麗にラッピングされたチョコレート。



リボンに指をかけ、えいっと引っ張る。

それから先はもう勢いで
包装をはぎ取り、出て来たのはクリーム色の箱。

この中には、昨夜私が頑張って作ったトリュフが入っている。



「あーあ、ほんとに開けちゃったよ」

華の声には同情がまじっている。

「いいんだってば!もうアイツにはあげないんだから二人で食べようよ!」



アイツとは、黒澤和光。
ちなみに、彼氏だったりする。



「もう和光になんかあげないんだからっ」


唇を尖らせもう一度そう言うと、私はトリュフをつまんで口にいれた。



虚しくも、込めた想いを自分で味わう。



………




ったく、
またアイツのこと思い出しちゃったじゃない。





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