チョコより甘く(久能龍信)

「はい!」


私が手渡したチョコレートに龍信が苦笑いした。


まぁ、予想できたコトだけど。


「分かってるよ。
龍信は甘いモノダメだもんね」


でもさ、やっぱりオンナとしては好きな人に渡したいものなの。



「一応形だけね?チョコは私が食べるから」

好きだし、と、私は龍信の手から再びチョコを受け取る。



しゅるしゅると綺麗にラッピングされたリボンをほどくと、5つのチョコレートが現れた。


1つをつまんで口の中に入れる、
途端にチョコはなめらかに溶け出した。


「旨いか?」

隣で見ていた龍信にそう聞かれ
うん、と頷く。


「そうか」


チョコレートってほんと美味しい。
こんな美味しいのが食べれないなんてね、



「おい」

ん?

?!


呼ばれて顔を向けた私の唇に、龍信の唇が重なり
思わず甘い息が漏れる。



「…あめーな、
でもまぁ、これくらいなら食えるな」
「ほんと?」
「お前の気持ちだしな」


私を見つめる龍信の目が優しく解ける。

―私はこの人が、好きでたまらない



「…じゃあさ、もう1つ食べるから、もう一回して?」



「ああ」

龍信が、そっと笑った。








私は目を閉じて、貴方にチョコの甘さを伝える。

そして、貴方は私に、チョコより甘いキスをくれる。



深く深く、愛を絡め合う
バレンタインチョコレート





End.
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