Happy days(武田好誠)

ガチャリと扉を押すと、目の前に大きな黒い影があった。






「どこ行くんだ?」


その声に顔をあげると

好誠が笑っていた。








「好誠のとこ」


泣きたいほど会いたくて、
貴方のところへ。





急にその場で抱き締められた。

頬に冷たいライダースが当たり、煙草の匂いと、好誠を感じる。





「好誠は、どうして?」



私の問いに




「会いたいだろ?」


好誠は問いで返す。


「大切な瞬間には大切なヤツに、会いたいだろ?」



「………うん」




うん。

間に合わないと思ったけれど、


叶うなら、

最後に会うのも
最初に会うのも

最愛の人がいい。



今、すごく幸せ、



微笑みと想いが重なり

ゆっくりと、好誠がキスをおとした。





長い長いキス


唇を重ねたまま、
私たちは年を越す。



去年最後で、
今年最初の、キス。









(好誠、武装は?)
(終わった。)
(さっき電話したんだよ?)
(知ってる。)
(は?なら何でとらないの?!)
(声だけじゃ満足できね―し、満足させたくないから。)







幸せな一年が終わり

幸せな一年が始まる







A HAPPY NEW YEAR.


End.
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