あなたに捧げる想い(複数)
少し歩いて私は将五と向かい合った。
「このリング、頼んでたの?」
「ああ」
「私の為に?」
「他に誰がいるんだよ」
もしかして、バイトはこのため?
「言っとくが男が指輪送るのにはそれなりに意味があるんだからな。覚悟しろよ」
そう言った将五は真顔で
「将五…」
「オレはお前よりもガキだけど、それでもちゃんと考えてるから」
うん、そうだね。確かに今の将五は『男』の顔をしている。
私はピアスに、リングにネックレス、
将五からもらったリング以外、付けていたアクセというアクセを全部はずした。
「みえ?」
「将五、帰ろう?」
「でもまだ買い物…」
「もういらない。何もいらないから、帰ろう?」
私は笑いながら、
泣いていた。
抱かれたい、と、思った。
アクセどころか、この服も脱ぎ捨てて、
このリングだけを身につけて
今すぐ将五に抱かれたかった。
幸せすぎて、夢じゃないと、将五の体温で確認したかった。
全てを理解した将五が
「ああ」
と、笑う。
結局のところ私たちの想いは一緒で、考えることも同じなのだ。
ゆっくりと耳元に近づいた将五の唇が
「愛してる」
そう囁いた。
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