あなたに捧げる想い(複数)

ご飯を食べ終わると、柳は散歩でもするか、と、遠回りして送ってくれた。



「瀬奈」

柳が上、っと空を見上げる。

つられて顔を上げると、夜空には沢山の星が瞬いていて、

「イルミネーションみたい」


私は思わずそう呟いた。


地上に視線を戻すと、柳と目があって、二人で微笑む。



「柳、ありがとう」

数時間前のブルーな気持ちがウソみたいな、幸せな気持ちでそう言った。




「瀬奈」

ジャケットに手を突っ込んでいた柳の手が急に差し出された。



その手には赤いリボンが付いた小さな小さな箱がある。


私、に?


「こういうのって、タイミング難しいな」

柳の声が、照れている。



私はそれをそっと両手で受け取った。


「ありがとう」

「「開けて、みろ、いい?」」

その声が被り、
私は笑って小さなリボンを解いた。




あ……




ボックスを開いて私の目に入ったのは、小さなリング。

「それからこれ」

見ると、柳の手にネックレスチェーンがある。


「そのままじゃ学校には無理だろ?
だからこれ、胸に、つけれるように」

「やなぎ…」

「ほら」


リングボックスから取り出したリングを柳はチェーンに通した。

そして、私の首に手を回し、優しく付けてくれた。



胸元で、それはきらりと光る。



キラキラと眩しくてはっきり見えないのは
それを見る私の目が、涙で滲んでいるから。



「卒業したら、指に付けてくれな」

「うん」



遠く瞬く星にも勝る、それは柳がくれた光。





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