あなたに捧げる想い(複数)
「わざわざ来んなよ!!」
店にいた清広達のブーイングを受けながら、私達はケーキを切った。
「バカップルめ」
そう文句を言いながらもみんな笑って付き合ってくれる。
「お前らが寂しいクリスマスやってんだろうと思って来てやったんだ!!ありがたく思え!!」
「んだとぉ?!余計なお世話だコノヤロー!」
「あっ?!ちょ、嵐!待て待て!!お前のケーキはオレが取ってやる!!」
「おいコラぁ無視すんな!」
うるさいなぁー…
ロマンチックとはほど遠いイブだ。
あれ?
「鉄生、ここなんかいびつな形なんだけど。」
取り分けてくれたケーキを見て私は鉄生に言った。
「いいから黙って食え!」
まぁ、味にかわりはないだろうしね。
ぱくりっ。
うーーーっ!やっぱりココのケーキはうまい!!
あー幸せ。
ん?
ふと気づくと、鉄生が私の方をじっと見ている。
「何?鉄生?」
「いや、何でもねーけど…」
「美味しいよ、鉄生の愛のケーキ。」
「そうか」
うん!っと、フォークを口に運びながら幸せ一杯になる。
もう一切れ食べよう。
そう思った時、お皿の上のスポンジに何かを見つけた。
何コレ、っと、指でつまんでスポンジから抜いてみると、
それは生クリームにまみれたリングだった。
「コレ…」
鉄生の方を見と、
「メリークリスマス」
ニカっと笑った。
………
「あ?!なんだそれ?!」
目ざとい清広が気づく。
「へへ、もらったの」
「お前、何ガラにもないことやってんだよ」
「うるせーなー!!」
私はナプキンできれいにクリームを拭き取り、光るそれを指にはめた。
ふふっ。十分、ロマンチックだ。
「見てー」
そう言ってみんなに指を見せた私は、
きっと世界で一番幸せな顔をしている。
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