あなたに捧げる想い(複数)

「あーもう、いいから黙って受け取れよ!!」

あ、開き直った。


まったくバカなんだから、と、私は鉄生の差し出す袋に手を伸ばした。


そして、鉄生の指に触れた途端、気づく



―冷たい…



その気持ちに。




『私が食べたい』って言ったから、こんなに冷たくなるまで並んでくれたんだ…


鉄生の気持ちに、胸が一杯になる。


「鉄生…ケーキ、ありがとう」

今更だけど、私は心からそう言った。


「どういたしまして」


満足そうに笑った鉄生は、
「じゃあ、行くか」っと歩き出す。


その笑顔に私もつづく。



私の手には大きな紙袋、
鉄生の手には小さな紙袋。
そうして、二人で腕を組む。



「ねぇ、どうするこのケーキ」
「んー、あ!二つ重ねて二段ケーキにしねーか?」
「えー?デコレーションが崩れるよ?」
「でもよ、ウェディングケーキみてーだろ」


無邪気に言ったその考えは、悪くない。


「じゃあ、ブライアンに行こう。みんなの前でケーキカットしよう!!」
「あ゛あ?!あんなとこ行きたくねぇ!!」
「いいじゃん、ほら行こう!!」





二つで1つの小さなウェディングケーキ。

きっと私たちはそうする為に買ってきたんだ。



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