あなたに捧げる想い(複数)

■クリスマスケーキ
鉄生×嵐



「遅い遅い遅いっ
おそーいっ!!」




鉄生のヤツ!!
何やってんのよ!!



約束の時間を過ぎても現れない鉄生に、私はかなり本気で頭に来ていた。


折角おしゃれして来たのに、
この寒空に1時間も待たせるなんてあり得ない!!


アイツ、今日が何の日か分かってんの?!
イブよイブ!

クリスマスイブなんだからね?!




………


周りを見ると幸せそうなカップルばかりで、
一人ぽつんと待ち続ける自分が悲しかった。

「鉄生のばか…」







だから、

「嵐ーっ」


背後からようやく聞こえたその声が、
泣きそうなくらい嬉しかったんだ。



「てつ…」
「悪い悪い、携帯家に忘れちまってよ」





………

「何それ?」


喜びもつかの間、私は鉄生が持っている大きな紙袋を指さした。

「お、早速気づいたか。
コレ買いに行ったらよ、ものすげー多くて買うのに1時間も並んだんだぜ?」

………

得意げに差し出すその顔の前に、
私は自分の持っていた小さな紙袋を差し出した。


「ん、何だよ?え?」

「アンタ、私の話聞いてた?」


二人が差し出し合っているのは同じショップの紙袋。

同じ、スイーツショップ…



「当たり前だ、お前が『あの店のケーキが食べたい』つったんだろ?」

「うん、だから『予約したから一緒に食べようね?』って言ったよね?」



「「………」」


「え?」
「ほら聞いてない!!」


「そんなこと、言ったか?」
「言ったよ!絶対多いから予約入れてるって!!」

雑誌を見せて確かに言ったんだ。

「どうりで並んでるはずだ…つかオレの並んだ1時間は?!」
「知るか!しかも何でそんなに大きいのよ?」
「そりゃどうせならでかい方がいいじゃねーか。」
「二人で食べるんだよ?」
「………」
「もう、鉄生のドアホ!」


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