バイバイ(小林政成)

アリサちゃん、私の友達。


明るくて人気者だったアリサちゃんは、私からみても可愛くて…




―「あ、マサ今帰り?ちょっとチャリのケツ乗せてってよ―」
「またかよ?お前たまにはちゃんと歩いて帰れよ」
「いいじゃん同じ方向なんだし」

「祥、じゃあ私マサに送ってもらうから!バイバイ!」

「また明日ね―」


時々気が向いたら秀吉も加わって、割に仲が良かった私たち。

アリサちゃんからすれば何でもない行為、
アリサちゃんには他に好きな人がいて、マサに特別な好意などもっていないことは知ってた。

でも私は…

好きな男が自分の友達と一緒に帰ってくのを寂しく―でも無理して笑って―見ていた。


私も一度だけマサに「乗せて」と頼んだことがある。
アリサちゃんも秀吉もいなくて、偶然二人になって「おう、乗れよ」って笑って乗せてくれた。
緊張しすぎてどんな話をしたかとかは覚えてないけど、泣きそうなくらい嬉しかったのは確かに覚えている。
産まれて初めての、告白にも似た勇気。


「何ぼ―っとしてんだ?」

顔をあげるとマサと秀吉が戻ってきた。

「アリサちゃんいた?」

「いたいた。アイツ今、那珂川と付き合ってんだな」

「そ、今日は彼氏付きだから邪魔しないのよ?」

するかよ。そう笑って二人は同じテ―ブルについた。
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