約束(香月ゲン)

「なぁナツメ、お前禁煙しろ」

「ん―?なに?」



―武装を引退して一年、すっかり社会人となったゲンとまったりした午後。

こうやってゲンの部屋で会うのも、かなり久しぶりだ。



「だから、き、ん、え、ん。タバコやめろ」

そう言ってゲンは私の指からタバコを取り上げた。

「え―…急になんで?」

「いや前から思ってたの。大体、お前未成年じゃん、喫煙は二十歳になってから!」


「アンタが言うな」

同い年のくせに。
ムッとして別のタバコを取ろうとしたら、

「ダメ。タバコ吸ったらキスがマズいの」

「え、マジ?」

「マジ」


ん―…。
ゲンに言われるとちょっとショック。でも…


「いいじゃん!我慢は良くない!それに愛する彼女なんだから大目に見て?」


「自分で言うな。とにかくだ―め。やめろ」

うっ、もうしつこいなぁ。
なんで?
そう不満顔で訴えてたら

「女はガキ産むじゃん?妊娠してから急に止めるのは無理だろ?
だから今のうちに止めとけ」


そりゃそうかもしれないけど…


.
1/3ページ
スキ