Eternal flowers(河内鉄生)

「何かやろーにも、貧乏だからよー、1000円しかなくてどうしようかと考えてたら、
閉店間際の花屋が目に入ってな、あ、花にしようと思いついたんだ」

「で?」

「産まれて初めて花屋なんか行ったからよ、びっくりしたぜ?
あんなに高いモンなのか?」

「結構な値段だよ?」

薔薇なんて高いんだよ?

「1000円じゃ5本買うのがせいぜいで、それを店のねーちゃんに頼んだんだ。
『誰かへプレゼントですか?』ってきかれたから、『あ、女の誕生日なんスよ』って答えたんだよ。
そしたら『何歳?』ってさらに聞くから『今日で17ス。』って言ったら『じゃあおまけしてあげる。』って付けてくれたんだ」

「え、じゃあ12本はおまけなの!?」
「でも5本はオレが買ったんだぜ!!」
「おまけのが多いじゃん!」
「いいじゃねーか!」

「あはははは!」

その話を聞いて、薔薇の花束を抱えてさらに涙が出るほど笑った。

「やらねーぞ!返せ!」
「いや、ごめんって。うれしーから」

うん、うれしかったの。

涙が出たのはね、普段なら絶対そんなことしたり、言ったりしないアンタがしてくれたから、
幸せでうれしかったの。

ほんとに、幸せでうれしかったんだよ。


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