形ないもの(戸川将太)

えっと…どうしよう…

あ、

急に私とみんなの前に壁が出来た。
私の目の前にある壁、それは将太の背中だった。

「ちょっと、アニキ達、人の女に手ぇださないでくださいよ!」

え?

「おーおー“オレの女”だってよ」
「見ろ、後ろで蓮ちゃん真っ赤だぜ?」

その言葉の通り、私は顔が真っ赤だった。

「てめー鉄生!お前が呼ぶからだろうが!!」
「あぁ?いいじゃねーか。お前が紹介しねーからだ」
「てめーみたいなヤツに会わせられるか!!」
「なんだー、やんのか!」


「おう、お前らその辺にしとけ。彼女、固まってるぞ」
「「!!」」

そう声が聞こえて、二人とも静かになる。


声の方を見ると、少し離れたところに二人の男の人が座っていた。

一人は金髪、もう一人は左目に傷がある。

なんかこの二人だけ落ち着いてる。


「もう顔も見せてもらったんだ、今日のところはいいだろう?将太、送ってやれ」
と、金髪の髪の人が言った。

「また改めて遊びに来ればいいさ」
今度は左目に傷がある人が笑ってそう言った。

「…はい」





「行くぞ」
「あ、うん。じゃあ、失礼します」


私はみんなにぺコっと頭を下げ挨拶をした。

「また来いよ蓮ちゃん」
「おう、将太連れて来いよー」

そう言ってくれるみんなの声を背に、私は将太と二人店を出た。

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