そんなサボを呆れたように見ながらニーナがもうそろそろ行こうと言った。

サボ「だな

おい、エースちょっと来い」

笑いを必死に堪えながらエースと肩を組みながら前を歩いて行く。

その二人の後ろを恋歌とニーナが着いていく。





エ「何だよ…」

にやにやが止まっていない兄弟に怪訝そうな目を向けるエース。

サボ「惚れたか？」

エ「ばっ、！お前何言って！」

焦ったようにサボに組まれている腕を解こうとしたが、力を入れられて外せない。

しかも心なしかエースの顔が若干赤い。

サボ「恋歌美人だもんなぁ

俺らの学校でも人気あるし」

エ「…やっぱモテるよな…」

サボ「安心しろ

恋歌に彼氏はいねぇよ」

エ「ほんとか!?」

サボ「高嶺の花って言うのか？

美人で成績も優秀、それに加えて俺たちの学校に特待生でもないのに通えるほどのお金持ちのお嬢様」

エ「…」

それを聞いたエースは自分とは住む世界が違うと感じてしまった。

自分とは関わってはいけない人だと…。

サボ「んで、どこに惚れたんだ？」

からかうようにエースに言うサボはちらっと恋歌を見ながら話す。

エ「何て言うか…

見た瞬間に素直に綺麗だって思った…

見た目もそうなんだけど、雰囲気というか」

サボ「なるほどな

ま、その見立ては間違ってないよ

実際優しいし、基本的に何でもできる」

エ「だろうな

そんな感じがする」

サボ「俺は応援するよ」

エ「は？」

今諦めようとしていたところだったのにこの兄弟は何を言い出すのかと目を見張る。

サボ「お前が女に興味もって、しかも一目惚れしたところなんかはじめて見た」

エ「でも俺にはあいつは…」

不釣り合いだと言おうとしたのをサボに腹を軽く殴られて止めさせられた。

サボ「どうせお前のことだからくだらねぇこと考えてると思うけど人が人を好きになるのに理由はいらねぇ

俺も親にはニーナと付き合うことを反対されて見合いまで組まれてる

だけど俺はニーナ以外のやつと結婚するつもりなんかねぇ

だいたい恋歌はそういうことを気にするタイプじゃないってことは断言しといてやるよ」

にっ、と笑ったサボにエースは少しだけ気が楽になったような気がした。