エ「はぁ…」

サッチ「おいおい、前まで唸ってたかと思えば今度はため息か？

今のお前の悩み…俺から見れば贅沢だぜ？」

マ「まぁそう言ってやるなよい

こいつだっていろいろ苦労してるんだからよ」

前とは違う理由で頭を抱えているエースを親友2人はにやにやと面白そうに見下ろしている。

サッチ「でもさぁー？

偶然とはいえ自分の好きな子と一緒に住めるなんて嬉しくねぇの？」

そう、エースが頭を抱えてため息をついている理由は最近引っ越した先の家主である恋歌のことだ。

引っ越しから約１週間。

最初は緊張こそしていたが少し慣れてくるといろいろエースの中で問題がでてきた。

エ「そういう問題じゃねぇんだよ…」

マ「なにが不満なんだよい？」

エ「不満なんかあるもんか…

むしろ…至れり尽くせりで申し訳ねぇっていうか…」

「「ああ…お前はそういうやつだな」」

今まで苦労してきたんだから少しは楽になったぐらい思えばいいのにエースはそんなことを思うやつではない。

エ「だってよぉ…

俺とルフィにひとつずつ個別に部屋くれただろ？

朝起きたら俺とルフィの分の弁当作ってくれてるだろ？

洗濯も俺らのもついでだって言ってやってくれるだろ？

掃除も恋歌がやってくれてるだろ？

俺がバイトで遅い時は晩飯作ってくれてるし、ルフィは風呂に入れてくれてる」

たんたんと語るエースに親友2人は若干同情を覚える。

サッチ「や、やっぱりいい子なんだな！

恋歌ちゃん！」

マ「そ、そうだよい！

それだけやってくれる女子はそうはいないよい？」

エ「……」

同情をおぼえるのはエースが尽くされる体質ではないことを知っているからだ。

お金のない暮らしをして自分のことは自分でやり、ルフィの面倒まで見てきたエースは尽くされることに慣れていない。

家に帰ってやることがない。

帰れば大事な弟に加えて恋歌がいるという生活に少し戸惑いを感じているのだろう。

サッチ「てかそんなに悩むなら恋歌ちゃんに言ってみろよ」

エ「なにを？」

サッチ「同じ家に住むならルールとかさ

つくってみれば？

これはエースの仕事

これは恋歌ちゃんの仕事

みたいに振り分けてさ」