三人が働いているのは居酒屋"白ひげ"。

サボも今日はいないがここで働いている。

店主が白い三日月の髭をしていることから店主にこのあだ名がつき、店名になったのだ。

白ひげは器の広い男として有名で、従業員のことは"息子"と呼び、従業員たちはそんな白ひげが大好きで"親父"と呼ぶ。

結構広い店で従業員の数も多いのだが、全員が家族のように仲がいいことで客からは雰囲気のいい店だと評判だ。

三人で裏口から店に入り、店の制服に着替える。

一人にひとつロッカーがあり、従業員の数が多いので更衣室も必然的に広くなる。

エ「うしっ!!

アパートのことは一旦忘れて仕事すんぞ」

両頬を叩いて気合いを入れたエース。

厨房に入っていくエースにマルコとサッチも続く。

白ひげが調理をしているので挨拶に行くのだ。

エ「親父おはよ！」

マ「おはようだよい」

サッチ「おはよ」

白「グラララララ！

来たか、今日もしっかり働けよ」

エ「おう！」

サッチは見た目のわりに料理の腕は一流なので厨房で白ひげの手伝い。

エースとマルコは客の注文を取りに行ったり、料理を運んだりするのが仕事だ。

夕方から夜の10時までのシフトで高校生であるエースたちは帰される。

本当はもっと働きたいのだが、規則でそう決まっているので文句は言えない。

あの一件から始めて仕事に入ったエースはいつも通りの笑顔で接客を始めた。










白「サッチよぉ…」

サッチ「ん？なんだ親父」

白「エースのやつ何かあったのか？」

サッチ「………よくわかるな」

白「グラララララ！

お前らのことは何でもお見通しなんだよ！

サボのやつも浮かねぇ顔してやがったけどな

あいつは問いただしても言葉巧みにかわしていきやがった」

サッチ「でも俺も詳しくは知らないんだよ

知ってるのは家が大変ってことぐらいかな」

白「大変？」

サッチ「何でもあと４日で今の家を出ていかなくちゃいけないみたいで物件探してんだよ、あいつ


でもなかなかいいとこ見つかんなくてここ最近は毎日唸ってる」

白「………」

サッチ「多分サボもおんなじ悩みだろ

あいつら家賃半分ずつ出して今の生活できてたみたいだし」

白「どうにかしてやりてぇがなぁ…」

サッチ「あいつは相談とかするやつじゃないからね

金のかかる話なら尚更

でも４日経ってさすがにあとがなくなったら俺んちでもマルコんちでも呼ぶつもりだから」

白「そうか…」