暫くしてもう一度インターホンが鳴った。

今度は扉を開けに玄関まで恋歌が小走りで走っていく。

サボ「広っ！

どこまでが玄関!?」

恋歌が扉を開けてどうぞと招き入れると、サボの第一声がそれだった。

エースと同じ言葉を発したサボを恋歌が噴き出すように笑った。

ニーナはサボの頭を軽く小突きながらお邪魔しますと入ってくる。

リビングに二人が通され、ソファーにはルフィが寝ているのでカーペットの上に座る。

サボは大きめのビニール袋を持っていてそれをニーナに渡した。

二人の分のお茶も入れてきた恋歌も先ほどと同じ位置に座る。

四人でテーブルを囲うようになった。

ニ「これ、ナミから」

『ありがとう』

ニーナは恋歌に一枚の紙を渡してサボに持っててもらっていた袋から傷薬や包帯など救急セットを次々出していく。

『ほんとナミは怖いわね』

ニ「情報収集の腕でナミの右にでる人はいないから」

『まぁこれで暫くあの人たちも大人しくするでしょ』

ニ「だいぶ脅しといたからね

最後の方はちゃんと聞いてたのかな？」

『その脅しってのが怖くていつも聞けないのよ

今回も聞かないけど』

ニ「私たちは恋歌が無事ならそれでいいのよ

はい、サボ服脱いで」

サボ「え、」

物騒な話をしていたふたりだったが、いきなり自分に話を振られたことに驚くサボ。

しかも唐突に服を脱げと言われた。

『エースもね』

エ「俺も!?」

まさか自分も言われると思ってなかったエースは大きな声を出してしまった。

ル「んー…」

その声に反応したのかエースの後ろで寝ていたルフィが目を擦りながら起きた。

ル「あさめしか？」

エ「ばか、まだ夜中だ」

起きて早々そんなことを聞くルフィはエースの言った通りよく食べるのだろう。

食い意地の張った問いだ。

ル「ここどこだ？」

自分が知らない場所にいることに気づいたのか辺りをキョロキョロ見渡す。

『私の家よ』

ル「恋歌ねぇちゃんの？」

『うん

まだ眠かったら寝ててもいいのよ？』

ル「たんけんしてきてもいいか!?」

子どもが起きているには遅い時間なのでそう言ったのだがルフィは眠気より好奇心が勝つようだ。

自分の家より数倍大きな家に興奮しているようだ。

キラキラした目をしながらソファーからぴょんと飛び降りたが、エースの首根っこを捕まれて胡座を組んだ足の間に入れられる。

エ「ダメに決まってんだろ

余所様の家ちょろちょろすんな」

ル「えぇー！」

エ「何か壊したらどうすんだ？」

ル「こわさねぇ！」

エ「そんなのわかんねぇだろ

ダメだ」

ル「エースのケチ！」

ぽかぽかとエースを殴り始めたが、そんな攻撃がエースに効くはずもなく知らん顔をされている。

『いいよ

探検ぐらい行ってきても』

ル「ほんとか!?」

『ルフィくんが喜びそうなのは何もないとは思うけどね』

家主の許可が下りたことでルフィはエースから抜け出して恋歌に飛び付いた。

『どこ見てきてもいいよ

でも危ないことはしないこと』

ル「わかった！」

リビングの扉も背伸びしてギリギリ手が届くようなので大喜びで部屋から出ていった。

エ「悪いな…」

『気にしないで

引っ越しが簡単にできるようにそんなに物置いてないし』

エ「そっ…か…」

いつ隼人に家を知られてもすぐに移動できるようにしていたんだろう。

そう思うと少し胸が痛かった。

『でもこれからは引っ越ししなくて済むし、どんどんいろんな物買いに行くわ』

エ「ああ…」

『さてと話が反れちゃったね

服脱いで

ほらもうサボはニーナにやってもらってるし』

エ「え？」

二人とも静かだと思えばニーナがサボの治療をしている。

上半身裸になったサボは諦めなのか大人しくニーナの言うことに従っている。