エ「お前さ…」

倉庫に隼人の笑い声が響く中、呆れたようにため息をついたのはエースだった。

エ「やっぱただの変態ストーカーだな」

隼「なっ！」

『エースさん？』

恋歌も急に話し出したエースを不思議そうな目で見る。

エ「そんな会社とか金とか地位だとかでしか人を評価できないなんてよ

だいたいお前なんかがそんな有名な会社継いだりしたら一気に倒産しそうだしな

ていうか恋歌の親父さんもお前との婚約断ってるってことは譲ってもらえねぇんじゃね？」

サボ「ははっ！確かにな」

エースの言うことが正しいので腹を抱えて笑い出すサボ。

隼「う、うるさい！

あいつは…恋歌の父親は恋歌の選んだ男に後を継がせると公言している！」

エ「たとえ公言していようとこの場で成立した婚約は恋歌の意思がどこにもない

その会社を継ぐ条件は恋歌の選んだ男

この今の状態だとお前は恋歌が選ばざるをえなかった男だ

ルフィを脅しに使うようなやつが人の上にたてると思うなよ

そんなやつ恋歌どころか世界中の女、誰もが嫌がるだろうよ」

エースのその言葉に女たちとサボは声を殺して笑う。

前を向いた恋歌の口元も弧を描いていたがそれをエースは見ていなかった。

だがそれに苛ついた隼人は一人の男に指示を出す。

冷や汗をかきながら頷いた男は懐から黒い塊を出した。

その先端はエースを狙っている。

サボ「あんなものまで持ってやがるのか!?」

ニ「ボディーガードならあれぐらい持ってるわよ」

エ「拳銃か…」

エースに向けられたのは一丁の拳銃。

隼「次にそのいらん口を開いてみろ

貴様の頭に風穴が開くぞ」

一対一の肉弾戦なら得意なエースだが拳銃が相手となれば話は別だ。

「ま、合格ラインね

時間稼ぎは充分よ」

拳銃相手にルフィをどう取り返すか考えようとしたところでエースの腕を押さえていたオレンジの髪の女がそう言った。

『そう…

なら後は、』

「わかってるわ

ねぇあんたたち」

エ「あ？」

「あの子泣き止ましてくれない？」

女にあの子と言われて指をさした先にはルフィ。

いまだに大量の涙が頬を伝って地面に落ちている。

「恋歌が私たちに次の指示を出さないのはあの子が泣き止まないから」

エ「どういうことだ？」

「まぁようするにこれ以上あの子を怖がらせたくないのよ

恋歌は子どもには特に優しいからね」