そして次の日。

エースは早く放課後になってほしい気持ちと、心の準備が出来ていないのとで朝からずっとそわそわしている。

だがはたからみればいつもより眉間の皺が増えて不機嫌そうにしか見えないのでクラスのみんなはエースから遠ざかっている。

そんな教室のぴりぴりした雰囲気を作り出しているエースに話しかけられる人物は限られてくる。

サッチ「まぁそわそわする気持ちもわかるけどさ落ち着けよ」

そんな数少ない人物の一人であるサッチが横の席で落ち着かない様子のエースを呆れた目で見る。

エ「でもよぉ…」

マ「恋歌もそんな落ち着きのない男となんか帰りたくないだろうよい」

エ「わかってる…」

サッチ「てかお前恋歌ちゃんの家知ってんの？」

エ「え？あ、ああ

前に一緒に帰った時に教えてもらったけど？」

何故急にそんなことを聞くのかと疑問に感じるエース。

サッチ「恋歌ちゃんは謎の多い子だって言ったろ？

そんで家もあんまり知ってるやついなくてさ

まぁあんだけ美少女だったら尾行とかしたやつもいたわけよ

でもわからなかった」

エ「撒かれたのか？」

サッチ「多分な

俺ですら恋歌ちゃんの情報はほとんど持ってないし」

サッチはこう見えて友人が多く、情報網もはんぱない。

そんなサッチが謎が多いと言うのだからほんとに秘密が多いのだろう。

マ「でも昨日も言った通り恋歌は悪いやつじゃないよい

そんな噂はひとつも聞いたことないからない」

サッチ「それもそうだな

俺も恋歌ちゃんの悪い噂は聞いたことない」

謎が多いと聞かされて若干不安になったエースだったが、信頼する二人にいい子だと言われてほっとした。

知りたいことは聞けばいいし、一度しかあっていないのに全てを知ることなど不可能だと思うことにした。

サッチ「噂って言えばさあれ、お前らも聞いたか？」

マ「ああ」

エ「あれ？」

いきなり話を変えたサッチだが、エースにはわからない話題だったらしく首を傾げている。

サッチ「なんだ知らないのか？」

マ「さすがに桜姫は知ってるだろい？」

エ「めっちゃ強いけど誰も正体知らないっていう女のことだろ？」

そう、エースたちの住んでいる町には桜姫という神出鬼没正体不明の女がいる。

一般人には手を出すことはなく、寧ろ一般人の味方である。

しかし桜姫本人が出ることはあまりなく、周りの親衛隊と名乗る女たちが暗躍しているとの噂だ。