恋歌とはじめて出逢って、恐らく…“恋”というものをしてから数日。

あれから一度も恋歌に逢っていない。

エ「はぁ…」

マ「…お前最近ため息多いよい」

出逢うどころか見かけることもできていないためエースは近頃ため息が多いのだ。

だが、その理由を知る者はエースと同じ学校には誰一人としていない。

サッチ「とうとうエースくんにも春がきましたかぁ？」

エースの机の上にどかっ、と座ったのはクラスメイトでエースの横の席のサッチだ。

にやにやしながらエースの頭をぐりぐりする。

それをエースは思いっきり振り払う。

エ「うるせぇ…」

だがいつもの覇気が無く、心なしか顔も赤く見える。

サッチ「お、こりゃ当たりだな」

マ「その嘘つけない顔、何とかした方がいいよい」

エ「ほっとけ…」

顔を隠すように窓の外を向いたエースを見てマルコとサッチは顔を見合わせてにやりと笑った。

サッチ「まぁまずは…」

マ「事情聴取だない」

エ「は？」

そう二人が言い、エースが答える間もなく無理矢理立たされ教室を三人で出ていった。

一応授業中ではあったが…。









三人が着いた先は屋上。

まだ季節は春真っ只中なため、風も比較的冷たい。

エ「こんなとこ連れてきて一体なんなんだよ」

不機嫌そうに言うエースにマルコとサッチはまぁ座れとエースを促す。

意味がわからないエースだったが、一応三人で円になるように座る。

サッチ「俺たちが言いたいのはだな

あの無愛想で」

マ「喧嘩ばっかして」

サッチ「女にも興味なくて」

エ「…酷い言いようだな…」

散々な言い方をされているエースはだんだん不機嫌なっていく。

サッチ「そんなお前が“恋”したって聞いたら話聞くしかないだろ！」

何故か興奮し出したサッチをエースはめんとくさそうに横目で見る。

マ「この学校の女か？」

エ「いや…」

サッチ「名前は？名前！」

エ「…………恋歌……」

「「恋歌!?」」

恋歌という名前を聞いた瞬間にエースにつめよるマルコとサッチ。

エ「な、なんだよ」

二人から体を離しながら怪訝そうな目を向ける。

サッチ「恋歌って隣の金持ちばっかが通う学校の恋歌か？」

エ「ああ、サボとニーナと同じ学校だからな

それがどうかしたのか？」

マ「お前知らねぇのか？」

心底驚いたといったような表情をするマルコにエースは首を傾げる。