食堂の扉を開けるとすでに全員そろっており、残りは恋歌とコンラッドだけだった。

グ「わー！！恋歌綺麗！！」

『あ、ありがとう』

ギ「恋歌様！？

何とお美しいぃいいい…！！」

「「「…」」」

グレタは率直に褒めてくれたが、ギュンターはあまりの美しさに汁を飛ばしながら倒れた。

コ「どうぞ」

『ありがとうございます』

ギュンターは全員に無視され、コンラッドにエスコートされた恋歌は用意された席に座った。

ヴ「やはり黒が良く似合うな」

『そ、そう？』

褒められすぎてお世辞だとは思っているのに照れてしまう。

コンラッドも席に着き、恋歌に食べても大丈夫かを確認し食事が始まる。

『(今日の食事には変なところはない…

この間のは私の勘違い…？)』

静かに食事は何事もなく進む。

美味しそうに食べるユーリをバレないように何度か見てはいるが、身体に異変はなさそうに見える。

『(でもこの間の食事も変な感じがしただけでおそらくあれを食べてもすぐには死んだりはしないはず

こちらの世界で調べる事はもうないかな…？)』

ユーリたちの故郷である地球に行くのはいいが、眞魔国で調べる事があれば先に情報を調べておきたい。

村「恋歌さん？どうかした？」

いつの間にか難しい顔をしていたらしく村田に心配そうに肩を叩かれた。

『あ、えっと…明日って健ちゃんの護衛は誰かいる？』

村「うーん、まぁ渋谷の傍にいればウェラー卿とかフォンビーレフェルト卿がいるとは思うけど…」

『明日一度この世界を回ってこようと思って』

村「え、世界？

眞魔国だけじゃなくて？」

『そう

地球に行くのはいいんだけど本当にこの世界で怪しい所はないのか自分の目で確かめたいの』

恋歌の役目を理解している村田はそれも必要な事であると瞬時に理解はできた。

村「それはいいんだけど一人で行くのかい？」

この世界に来たばかりの恋歌を一人で行かせるのは心配がある。

戦闘面では心配はないが、常識的なところや、異常はこの世界に詳しい者がいないとわからないことも多いだろう。

『…なにか…遠隔で見れるような設備はある？』

村「フォンカーベルニコフ卿に言ってみれば何かあるかもね」

『あとで聞いてみる』

村「誰かを連れて行くっていう選択肢はないの？」

可能であればアニシナの魔動装置には頼りたくはない為、一番安全そうな誰かが着いていくということを提案してみるが、恋歌は静かに首を振った。

『私高速で移動は出来るんだけど人を一緒には連れて行けないの

この間みんなを乗せた子はちょっと遅いし…』

ごめんねと言う恋歌に村田は大丈夫だと笑みを返す。

村「というわけなんだけどフォンヴォルテール卿、聞いてみてくれない？」

グ「わ、わたしがか！？」

急に話を振られたグウェンダルは驚いてフォークを落としてしまっている。