そしてその合図のあとになぜか全員が恋歌に向かって走ってくる。

『？

全員と一気に戦うんですか？』

ギ「まさかそんなわけ…！！

猊下！？」

ギーゼラが兵士たちをとめようと間に入ろうとしたが村田に腕を掴まれて止められた。

村「これでいいんだ」

その時村田の背後から黒いオーラが増えていたのをギーゼラは見逃さなかった。

『まぁ…いつもは全員一気にだからそれでもいいんですけど…』

血走った目をしている兵士たちは少々恐怖を感じる。

一番最初に恋歌に攻撃してきた男からの右ストレートをかわし、首筋に手刀を一発落とすと気を失う。

次は掴みかかろうとしてくるのをしゃがんで避け、足払いをすると顔面から地面に着地した。

すぐ様起き上がってきたその男の後ろから伸びてきた手を振り返ることなく避けて掴み、そのまま一本背負い。

それに巻き込まれた兵士が2人。

ギ「…すごい」

村「勝てるわけないんだよ

彼女は眞王に選ばれた人

この国の誰よりも強いのだから」

ギ「眞王陛下が…？」

驚くギーゼラに満足そうに笑う村田。

対照的な顔をする2人。

数分で100人の相手をし終わった恋歌がこちらに来るまでギーゼラはただ呆然と兵士たちが山になっていくのを眺めていた。

村「お疲れ様ー

やっぱり勝てなかったかー」

『…知ってて何かみんなに言ったでしょ』

村「ははは、まぁね」

『なにいったの？』

村「恋歌さんの背中を地面につけたら彼女と1日デートできるようにしてあげるって」

『はい？それだけ？』

たったそれだけのためにあんな血走った目をしながら全員で向かってきたのかと恋歌は驚いた。

村「わかってないなー

君みたいな美人とデートできるんだよ？

そりゃみんな頑張るでしょ」

『えー…美人ー？』

双黒である女性とデートできるだけでも名誉なことなのだが、その価値がわからない恋歌は首をかしげるばかり。

村「そんなことよりもうそろそろ夕食の時間だよ

先にお風呂でも入る？」

『あー、そうだね砂埃も舞ってたし

あの鉄の剣って片付けた方がいいのかな？』

ギ「あ、いえ！

片付けはわたしたちが！」

村「こう言ってくれてるし僕たちは行こう？

夕食に遅れるとみんな待たせちゃうからさ」

『じゃあごめんなさい

先にいきますね』

ぺこりと頭を下げて先に歩いている村田を慌てて追いかけた。