ヴォルフラムが泣き止んだ後誰にも言うなよと散々釘を刺されたあと別れた。

そのあと部屋に帰った恋歌は刀を全て指輪に戻した。

『これからはちゃんと入れるもの考えないとなー』

なんでもほいほい入れていては今回のように刀が刃こぼれしてしまうかもしれない。

ベッドに寝転びすっ、と目を閉じて集中すると感じる小さな気配がふたつ。

ひとつは血盟城の自分から離れた場所、もうひとつはこの世界の地理がないためわからないがかなり遠くだ。

『ヨザックさんは遠くにいるのね』

集中しても感じられない家族の気配。

まだこちらの世界に来て3日。

されど3日。

『世界が違うんだね…本当に…』

他の海賊達に呼ばれて白髭の元から離れるのと今の状態はわけが違う。

いる世界が同じなら呼ばれれば家族の元に一瞬で帰ることができる。

自分の家族は弱くない。

それを知っていても心配なものは心配なのだ。

もし自分がいない間に誰かに攻め込まれたら？

大将が来たら？

またエースやサボが捕らえられたら？

…考えたくない。

『大丈夫…みんな強い…』

流れそうな涙を堪えるように腕を目の上に置いて深呼吸を繰り返す。

大丈夫…大丈夫…と自分に言い聞かせているとこんこん、と控え目なノックが部屋に響く。

『はい』

グ「恋歌？いる？」

『グレタ？』

遠慮がちに扉の外から声をかけたのはユーリの愛娘のグレタ。

恋歌はすぐにベッドから起き上がり扉を開ける。

目線を合わせるようにしゃがむともじもじしながら言葉を紡ぐ。

『どうしたの？』

グ「えっとね…恋歌今時間ある？」

『え、うん

大丈夫だけど…』

その恋歌の返事にぱあっと顔を明るくさせたグレタは恋歌の手を握って軽く引いた。

グ「じゃあグレタと遊んでくれる！？」

『もちろん、わたしでよければ』

返事を聞く前に部屋から連れ出そうとしていたグレタに苦笑しながらも恋歌は大人しくついていく。