血盟城に着く前にこれをかぶってと言われて渡されたフード付きのマントをかぶって顔を隠しながら血盟城に入る。

『なんでこんなことを？』

村「《実はこっちの世界では双黒、つまり髪も瞳も黒の人は高貴な人扱いなんだ

僕たちは見慣れられてるからいいけど恋歌さんは初めてきたからね

説明するのも面倒だし》」

『だからさっき魔王はわたしを止めたのね』

村「《そういうこと

さ、渋谷の執務室に行こう》」








渋「なぁなぁコンラッド」

コ「はい」

渋「さっきからあの二人何しゃべってんの？

あんなにさらさら英語喋られたら何言ってるか全然わかんないんだけど」

コ「俺もさすがにすべてを聞き取れたわけではないんです

すいません」

渋「だよなー

てかなんで急に英語なんだよ

日本語でいいじゃん」

ぶーぶーと文句を言うユーリに村田はまたしても眼鏡を光らせて答える。

村「 なんだいなんだい？

僕と恋歌さんの秘密の会話が気になるのかい？

だいじょーぶ！僕は君だけの大賢者兼親友だからさ！」

渋「…別にそういうことを言ってるんじゃねーんだけど

まぁいいや


みんなー！たっだいまー！」

諦めたように一つため息を落とすと目の前の扉を力強く開けて笑顔でただいまと告げる。

その部屋の中にいたのは先ほどもいた王佐と自称婚約者、それから眉間にしわを寄せた緑の軍服を着た男。

ギ「ああ！陛下！

ご無事で何よりでございます！」

渋「さっき会ったじゃん

それでさっきのことは報告してくれたの？」

ギ「もちろんでございます！

このギュンター、陛下に与えられた仕事ならばたとえ火の中水の中！」

渋「そんな過酷なことを頼んだ覚えはないんだけど…」

ギ「そ、それで！先ほどの姫君はどちらに！？」

渋「姫君ー？」

村「ここにいるよ

一応人目につかないようにフードかぶってもらったんだ

《フードとって》」

村田に日本語でそう言われひとつ頷いてから恋歌はフードをとった。

見るのは2回目だと言うのに王佐は興奮のあまり倒れた。

一番奥で座っていた男は眉間のしわをさらに増やして恋歌を睨むように見つめていた。