村「フォンカーベルニコフ卿なんかよくやってくれたよね

あ、でもあの人は女子供には優しいもんね」

グ「アニシナ結構楽しそうだったよ？」

それは新しい実験のことを考えていたのか、それとも純粋に楽しんでいたのかわからない。

グ「恋歌はねー背中洗うの上手なの！

頭も洗ってくれたんだ！ねー？」

『うん、楽しかったね』

渋「よかったな」

娘と一緒に風呂に入るにはグレタは育ち過ぎている。

母親もいないグレタは城の女性陣が母親のようなものだ。

そのグレタが楽しそうに語る姿はユーリには至福の時間。

グ「あ、そうだ」

渋「ん？」

グ「きやせ、ってなーに？」

渋「きやせ？

着痩せのことか？」

グ「ツェリ様が恋歌は胸がきやせするのね！って言ってたから」

「「「！！」」」

『ぐ、グレタ！！///』

純粋無垢な瞳が興味だけで言った言葉は言ってはならない言葉だった。

その証拠にユーリは顔を赤くしてわたわたしているし、村田は平静を装うためになぜか眼鏡を掛けたり外したりしている。

コンラッドは片付けが一瞬止まっただけでなんとか持ち直した。

恋歌はグレタに悪気がないことはわかっているが恥ずかしいことこの上ない。

グ「ねーユーリ

どういう意味？」

渋「えーと…えーと…

グレタがもうちょっと大きくなったら教えるよ…」

グ「今はダメなの？」

いろんな思いが葛藤するユーリはどう説明したらいいのかを名付け親に求めるが、コンラッドも上手い言葉は持ち合わせていないようだ。

グ「そのうち教えてくれるならいいや」

困った表情の養父にホットミルクを飲んで眠気が襲ってきたグレタは目をこすりながら眠そうにしている。

渋「あ、もう寝るか？

今日は村田と一緒だからちょっと狭いけど」

グ「うん

ヴォルフラムは？」

渋「今日は村田がいるから部屋で寝てくれって頼んだ」

グ「そっか」

ひょいと抱え上げられたグレタはユーリにベッドまで連れて行ってもらう。

布団に潜り込んで端っこに寄りユーリと並んで寝転がる。

渋「ほら、村田も来いよ」

自分の隣をぽんぽんと叩いて村田を誘うがうーん、と悩んでいて来ない。

村「僕恋歌さんと一緒に寝るよ」

渋「は？」

『え？』

よし、と決意したような表情で飄々と言ってのけた言葉は周りを凍らせるには十分な言葉だった。