顔を半分湯につけてぶくぶくと泡を吹いている恋歌は少し悲しそうだ。

グ「どうしたの？

どこか痛い？」

『ううん、大丈夫だよ

グレタは優しいね』

グ「えへへ」

そっとグレタを抱き寄せて頭を撫でてあげると嬉しそうにはにかんだ。

ギ「恋歌さんは迷っているのですか？

その方と恋人と」

『違う

何をされても心は変わらないと断言できるからどうしたらいいかわからなくて…』

ツ「あたくしも魔王だった頃地位や名誉が欲しくて求婚してくる人はたくさんいたわ

結局３人と結婚はしたけれどそのとき愛していたのはただひとりだけ

地位や名誉などいらないからと言われてもね」

恋愛経験豊富で結婚も3度しているツェリも1度に何人もの人と付き合っていたわけではない。

ひとりひとりと時間をかけて愛し合っていたのだ。

ア「向こうが勝手に惚れたのですから放っておけば良いのです

あなたが悩む必要はありません」

『放っておくか…』

ア「なんならあなたへの想いを忘れる薬でも作りましょうか？」

ツ「それは…やめた方がいいと思うわ」

少なからず自分の息子の苦労を知っているツェリはやんわりとアニシナを制す。

ギ「わたしは…とりあえず様子を見るのがよろしいかと」

『様子を？』

ギ「はい

恋歌さんに恋人がいると知って告白されたのなら返事はわかっていたはずです

心では諦められないかもしれませんが行動はいつも通りにされるかもしれません」

『なるほど…』

確かにそう言われてみれば今日告白された後の村田の行動はいつも通りだった。

ツ「ではとにかく様子を見るということね

あー、でも不謹慎だとわかっていてもわくわくするわぁー」

恋愛ごとが大好きなツェリは恋歌が悩んでいると知っていても嬉々とした表情を崩さない。

ア「わたしも楽しみではありますね

まぁいつでも辛くなったらわたしの研究室へおいでください」

ギ「わたしのところへもいつでもお越しください

お話くらいなら聞けると思います」

『ありがとうございます』

心強い女性陣の声に少し気が楽になる。

グ「ねーねー、みんなで背中ながしっこしよう！」

話がひと段落ついたと思ったのがグレタの元気な声が浴室に響き渡る。

ツ「ながしっこ？

それはなぁに？」

グ「えっとねー、ユーリの国ではみんなでお風呂に入ったら背中をごしごしってしてもらって、自分も相手の背中を流してあげるんだって！」

ツ「なんだか楽しそう！」

やりましょう！と手を叩いて恋歌とグレタの手を引く。

それにアニシナとギーゼラも続いた。

ここからは楽しいバスタイム。