ツ「あ、そうだわ！」

みんなばらばらに一定の距離を置いて浸かっていたのだがツェリがうふふ、と怪しげな笑みを浮かべながら恋歌に擦り寄ってきた。

『？』

ツ「恋歌、あなた先ほど夕食を共にした殿方の中にあなたを好きな方がいるのはお気づき？」

『！！』

ツ「あら、その反応は知っていたようね」

恋歌はツェリの言葉に驚き目を見開いた。

なぜわかったのか。

ツ「あたくしは愛の狩人なの」

『愛の狩人？』

ツ「自由恋愛旅行の途中なの

まぁそんなことは置いておいて…」

ギ「わたしもその話興味あります！」

グ「グレタも！」

ア「興味深いですね」

どの世界でも女子が集まれば恋話。

するのは楽しいが自分が標的となると…。

『え、えと…それは…』

ツ「あなたほど魅力的な女性はいなくてよ

あの方が好きになるのも頷けるわ」

ギ「あの方とはどなたですか？」

ツ「それはまだみんなに想いを隠しておられるみたいだからあたくしの口からは…」

首を振りながらごめんなさい、とギーゼラに謝る。

ア「相手が誰であれその男

見る目はあるようですね

グウェンダルから恋歌の噂は伺ってますよ

なんでもあのヨザックより使えるとか」

『いや、そんなことは…』

ツ「それで？恋歌はお付き合いしている殿方がいると言っていたわよね？

あの方の想いに気づいているのならどうするの？」

『どうする…

わたしは…1人しか…この人だと思った人しか愛せないです…

それはたとえあの人が死んでも変わらない』

ツ「辛いわね…

あの方も…そしてあなたも…」

ギ「で、でも相手の方は恋歌さんが想いに気づいているとは思っていないのでは？」

辛そうな顔をする恋歌にフォローを入れようとギーゼラが言うがそれに恋歌は首を振った。

『今日…好きだと…言われました…』

ア「その男の度胸だけは認めましょう

聞けば先ほど食事を一緒にとっていた者は恋歌に心に決めた人がいるのは知っていたそうです

それでも尚気持ちを伝えるとは

最近の男にしてはなかなかです」

どこまでも上から目線な赤い悪魔は、しかしと青い瞳を恋歌に向ける。

ア「この眞魔国の魔族の男どもはあきらめが悪いですよ？」

良くも悪くも。

グ「今みんながお話ししてるのはグレタがユーリを好きなのとは違う好きなんだよね？」

ツ「ええ、そうよ

一生この人と一緒にいたい

そばにいたい

幸せにしたい

そう思える相手ができるってことなのよ」

グ「ふーん

それでけっこんするんだね？」

ツ「そう

グレタもいつかわかるわ」

おそらくあまり意味を理解してはいないだろうが、お嫁に行くということだけはわかったようだ。