「ふー！

無事スタツアかんりょー」

「お疲れ様、渋谷」

いつもの通り地球から自身の魔力を使ってスタツアしてきた魔王と大賢者。

そして場所もいつもの通り眞王廟の噴水。

いつもと違うのは…

「あれ？どうしたの？

みんななんか固まってるけど…」

「さぁ？まさか僕たちのことを忘れちゃったとか？」

「おいおい、冗談でもやめろよ」

そう、いつもと違うのは自分たちの護衛2人と王佐、自称婚約者が驚いた表情でタオルを構えたまま自分たちを見ていることだ。

「へ、陛下…

そ、その方はどなたなのですか？」

この国一の美貌と謳われる王佐が恐る恐る陛下と呼んだ人物を指差す。

いや、正確にはその後ろ。

「へ？誰って…」

噴水に浸かったままの2人がゆっくりと後ろを振り返る。

「「………」」

『………』

そこにいたのは自分たちと同じように噴水に浸かって呆然としている女。

「……なぁ村田…」

「…なんだい渋谷」

「もしかして俺…関係ない人連れて来ちゃった？」

「…その可能性が一番否定できないね」

一瞬の間が空いてこの眞魔国中に魔王の驚きの声と困惑の声が響き渡った。