バレットがぐるっと島の周りを見渡し、何を思ったのか能力の範囲を広げる。

人間を吸収する事はないが、建物や船を巻き込んでバレットの一部になっていく。

海軍の船も、海賊の船も、建物も、植物も全て飲み込み、祭りでにぎわっていた島とは思えない更地になった。

島の周りもバレットの能力で囲われ、バレットを倒さなければこの島から出る事もできない。

ロー「おい、恋歌…」

『はい』

先ほどとは比べ物にならないほど巨大化したバレットを見て、ローが横に立つ恋歌に声をかける。

ロー「お前…あれに勝てるのか？」

全身に覇気を纏い、遠吠えのような声を上げている姿は、圧倒的な存在感を放ち、勝率はかなり低いものに感じる。

『…もちろん

その為にわたしはここに来たんです』

左腕を振り上げたバレットは、そのまま巨大な腕を大地にたたき込む。

「「「！！」」」

その拳の衝撃で大地が割れ、海賊も海軍も関係なくふっとばされていく。

ロー「ぐっ…」

ル「うひょー！」

近くにいるルフィとローは手を握って衝撃で飛ばされないように支え、他の海賊たちは千本桜に任せた。

バ「これがおれの本気！！

かかってこい！世界最強！！」

『大きいだけの人に負けはしませんよ』

ぐっと足に力を入れ、バレットの顔の近くまで飛びあがり、顔を蹴り飛ばす。

バ「この程度か！！」

少しふらついた程度で体勢を立て直したバレットは、大声で笑いながら拳を恋歌に振り上げる。

『【卍解　黒縄天譴明王】』

バ「むっ…」

拳が恋歌に直撃する前に、バレットに劣らない大きさの巨人が拳を受け止めた。

『【雷炎竜の咆哮】！！』

巨人が拳を受け止めている間に大きく息を吸い込み、雷を纏った炎をまた顔に当たるように撃つ。

バ「小賢しいわぁ！！」

巨人をなぎ倒し、炎のダメージを受けながらも、また恋歌に拳を振り上げる。

『頑丈…』

振り下ろされた拳を腕で受け止めたが、瞬時に力負けすると悟り、腕の下から抜けた。

ロー「恋歌！！」

少し衝撃を受けた身体は、軽く地面を引きずって止まった。

『…どうしました？』

ロー「…まぁ無事ならいい

そんなことよりやばい状況になった」

『やばい状況？』

心配して駆け寄ってきてくれたようだが、何か伝えたいことがあるとのこと。

ロー「この島に、バスターコールが発令された

あと５分もしないうちにここに…一斉放火が始まる」

『バスターコール…』

近くに大将が２人もいる現状では、５分後のバスターコール開始は可能だろう。

だが、バスターコールには、負けないと過去にロビンに宣言した。

だから今回もバスターコールに負けるわけにはいかない。

『わかりました

バスターコールも何とかします』

ロー「は？

なんとか、って…」

『全力で、勝ちにいきます』