いきなり自分の前に現れたバレットに、驚いた顔をする海賊だったが、その拳が当たる前に恋歌が間に滑り込んだ。

『あなたの相手はわたし』

バ「本気をださねぇなら、本気を出せるように舞台を整えるだけだ

お前を倒しておれが世界最強になる！！」

『そんなもの、勝手になればいいでしょ！』

バ「！！」

海賊から遠ざける為に、バレットを蹴り飛ばし、いきなりの反撃に驚いたバレットはそのまま飛ばされ、いくつかの岩石にぶつかり止まった。

『離れててください』

「あ、ああ…悪い」

がたいのいい仮面をつけた男は、素直に謝ったが、初めて間近で見た桜姫にぽかんとしている。

バ「いい蹴りだ

じゃあ勝手に最強を決める戦いを始めさせてもらおうか」

「た、大変だー！！」

『(今度は何…)』

静まり返る島に、司会者の驚いた声が響き渡る。

「そんな！絶対秘密のはずなのに！！」

海賊万博というだけあって、海軍には秘密にされていたこの祭りの概要。

ガープたちにばれていた時点で、完全に秘密に出来ているとは思っていなかったが、ガープもセンゴクも言いふらすような人たちではない。

『(海軍…あんな大人数で、この短時間に来れるわけない)』

たとえ桜姫とバレットを捕らえる為に集めた部隊だったとしても、行動が早すぎると、この異常事態にどうするべきかと考えを巡らせる。

バ「最悪の世代ってのも強いんだろ？

世界最強を片付ける前のウォーミングアップに使ってやるよ」

「「なに！？」」

その挑発に反応したのはルフィとキッドで、その直後に発動させたバレットの覇王色の覇気により、耐えられなかった海賊たちが倒れて行く。

立っているのは最悪の世代と呼ばれるルーキーたち。

『ま、待って！』

バレットに向かって行こうとする最悪の世代を止めようとするが、恋歌の言葉で止まるような者たちではない。

ロー「諦めろ

お前の声なんか聞いちゃいねぇ」

『…そのようですね』

慰めるように肩に手を置かれるが、目の前で海賊たちが傷つくのを黙って見ている事もできない。

「…おい」

殴り飛ばされ、投げ飛ばされるのをフォローし、致命傷ができないように立ち回っていると、キッドを背に庇った時に怒りを抑えた声音で声をかけられた。

キッド「てめぇさっきから目障りなんだよ！！

邪魔すんな！！」

『あ、ごめんなさい…』

ル「おい！桜姫になんてこと言うんだ！」

キッド「ああ！？」

キラ「落ち着けキッド！

桜姫はおれたちを守ってくれてるんだ」

キッド「それが目障りだって言ってんだろ！！」

別の所で喧嘩が勃発しそうな雰囲気ではあるが、なんとかキラーがキッドを宥め、まずは目の前の敵に集中しようと渋々バレットに向き直った。

『(でも…海軍も何とかしないとみんなが逃げられない)』

気配で大将が２人も来ている事もわかっており、少し考えて刀を出して握った。

『みなさんが逃げないのなら…もうどうなっても知りませんからね

逃げられる時に…逃げてください

【卍解　千本桜影義】』

「「「！！」」」

まったく逃げる様子のない最悪の世代たちは、戦いに巻き込まれた程度で死ぬわけはないと、先ずは戦いに集中する事にした。

持っていた刀が消え、あふれ出てくる桜にぽかんと口を開けてかたまっている。