ローの準備も整い、恋歌の残した噛み痕が見えないパーカーを着て、２人で食堂に向かうと、数人のハートのクルーが元気がなさそうに朝食を食べていた。

「「「おはようございます…」」」

ロー「ああ」

どよーんとした雰囲気でローに朝の挨拶をする。

『みなさん、どうかされたんですか？』

ロー「ただの二日酔いだろ

気にするな」

元気のない様子にどうかしたのかと問えば、あきれたようにため息をついてローがクルーたちを見渡す。

「めっちゃ頭痛いんですよ…」

「キャプテン…なにか薬を下さい…」

ロー「病気じゃねぇなら自力で治せ

大体いつも自分の飲める量を考えて飲めって言ってんだろ」

「「「うっ…」」」

正論過ぎる言葉に何も言い返せないクルーたちは、もそもそと食事を続けるが、その雰囲気にローが小さく舌打ちをする。

ロー「…今回だけだぞ！！」

がたん、と急に席を立ったローはすたすたと食堂から出て行った。

ペ「なんだかんだ言いながら、毎回これだもんな」

『？』

こん、と恋歌の目の前に綺麗な箱が置かれ、ペンギンが横に座ってくる。

ペ「キャプテンはおれたちの為に二日酔いの薬を常備してくれてんだよ

で、毎回お説教はあるけどそれをおれたちにくれるんだ」

『やっぱりローさんって優しいんですね』

ペ「ああ、自慢のキャプテンだ」

早々に戻ってきたローは、持ってきた薬を頭が痛いと机に突っ伏しているクルーたちに投げ渡し、お説教をしている。

その様子をペンギンと見ていると、お説教が終わり恋歌の横にどかっと腰を下ろした。

ロー「ったく…懲りないやつらだ」

ペ「あ、キャプテン

頼まれてたもの用意しときましたよ」

ロー「ああ、悪いな」

恋歌の前に置かれた箱を手に取り、蓋を開けると中には丸いくぼみがあるが、何も入っていなかった。

『これ、なんですか？』

ロー「これはな」

ごそごそとポケットから取り出したのは昨日恋歌から貰った限定モノのコイン。

箱のくぼみにそのコインをはめると、ぴったり収まった。

ロー「お前からもらったものだ

大事にする」

『喜んでもらえてよかったです

ゲームとかなら大体の事は勝てると思いますんで、これからコイン見つけたらいろいろチャレンジしてみます』

ロー「…無理しなくていいからな」

『はい』

たしかに大抵の事はこなせるのだろうが、自分の為に無理はしてほしくないと伝えれば、わかっているのかどうかわからない笑顔で頷かれた。

シ「ほい、朝飯お待ち」

シャチが横並びにいる３人の分も朝食を置いてくれ、いただきますと手を合わせて箸を持った。