男が地面に激突し気を失ったが、白ひげ海賊団がやった事に何も言えるはずもなく、宴は何事もなかったかのように進む。

『お待たせしました』

ロー「いや…

さっきの男なんだ？」

『…さっきの機械壊せたのは、いかさまでもしたんだろって言われたんです』

「「あ？」」

素直に言われたことを伝えれば、びきっ、とこめかみに青筋が浮かび上がった。

ロー「…切り刻んできてやる」

キラー「おれも行く」

『いいんです、あの子たちが代わりに怒ってくれましたから』

幸せそうに笑う恋歌に何も言えなくなり、２人で大きなため息をついた。

ロー「お前がそれでいいならいいが、他に何か言われたら言えよ」

『はい、ありがとうございます』

ロー「行くか」

恋歌が誰にも負けない事も、自分の事に関して沸点が低いことはわかっているが、見た目が小柄という事もあり、今回のように絡まれることもある。

その時に酷い言葉を言われたりすることからは守ってやりたいと思う。

家族が守ってくれたことに嬉しそうにしている恋歌のむき出しの肩を引き寄せてやれば、一瞬驚いた顔をしてまた幸せそうに笑う。

キラー「(今すぐには無理か…)」

ロー「じゃあな、おれたちは抜ける」

その笑顔を見て、今すぐローから引き離す事はできないとわかったキラーは、ゆっくりと海の方に歩いていく二人の背中を見送った。





ロー「（さて…どこに行くか…）」

宴を抜け出したはいいが、ポーラータングに戻るか、どこか宿を探した方がいいかを悩みながら歩いていた。

ロー「…おれの船でもいいか？」

『はい』

いろいろ考えた結果、自分の船の方がいいという結論になり、肩を抱いたまま港へ足を向ける。

ロー「お前…結構ああいうのに絡まれそうだよな」

『ああいうの、って…さっきの人みたいなのですか？』

ロー「ああ

見た目的には…まぁたしかに、いかさまと思われても仕方ねぇ」

『たまに、ですよ

気にするほどの事ではないです』

本当に少しも気にしていない様子ではあるが、もう少しぐらい怒ってもいいのではないかとも思う。

ロー「怒る事なさそうだよな」

『そんなことはないです

結構簡単に怒りますよ』

ロー「へぇ…」

怒っている様子が想像できない為、自分に怒りを向けられるのはごめんだが、その様子が見てみたいと思ってしまった。

バレットにも海軍にも大きな怒りを向ける事はなく、あくまでも依頼を遂行する為に戦っていたように見えた。

ぽつぽつと話しながら歩いていると、ポーラータング号にたどり着き、慣れた自室への道のりを歩いて恋歌を部屋に通す。

ロー「…おれはまだ飲み足りねぇから飲むが、お前はどうする？」

『ローさんが飲むなら、お付き合いさせてください』

ロー「じゃあ酒持ってくるから、その間風呂にでも行ってこい

飲み過ぎたら風呂に入れなくなるからな」

『わかりました』

着替えなども持ってきてくれると言ってくれたので、以前一度言われたようにあるものは使っていいと言われ、ローの部屋のシャワーを借りる為に脱衣所へ向かった。