「「「……」」」

恋歌のお願いに頷いたローは、鬼哭をベポに預けて、恋歌の正面に立つローをハートの海賊団は黙って見守る。

ロー「まずは握り拳を作ってみろ」

『はい』

言われた通りにぎゅっと握り拳を作れば、違うと言われて拳を開かれた。

ロー「親指は握りこむな

外に出せ」

(((え、そんなところから？)))

『はい』

言われた通りにもう一度握り拳を作れば、ローが恋歌の身体を触って、腰を少し落とさせ、右足を少し下げさせた。

ロー「泊まっている状態なら、右足のかかとが少し浮くぐらいまで腰をひねればいい

体重を左足に乗せるイメージだ

おい、一度手本見せてやれ」

ペ「はいはーい」

ローに言われてペンギンが流れを見せてくれ、教えてもらった事をちゃんと理解した恋歌は、自分の握り拳を見てうん、と小さく頷いた。

『ありがとうございます』

ロー「いや…この程度なら大したことねぇ

まさかとは思うが、お前あれに挑戦するつもりか？」

『はい』

ロー「…その気持ちは有り難てぇが、無理しなくていい」

パンチの打ち方すら知らない恋歌が、無理してチャレンジする事ではないと言ってくれるが、恋歌は笑って首を振った。

『これのお礼をさせてください』

ロー「…わかった」

今日渡したヘアゴムに触れて笑う恋歌に、ローも危ないことでなければ止める必要もないかと、無理はするなと送り出す事にした。




ゲームにチャレンジする為に機械の近くに来たはいいが、どのタイミングで割り込んでいいのかわからず、きょろきょろとしていると、機械の近くにいたキッド海賊団の1人が声をかけに来てくれた。

「あんたもやりに来たのか？」

『あ、はい

やってみてもいいですか？』

「ああ

頭！キラーさん！」

キッドの部下がキッドとキラーに声をかければ、何かと首だけをひねって振り返り、恋歌がいる事に驚いた表情を浮かべる。

キラー「恋歌が…挑戦するのか？」

『はい、やってみてもいいですか？』

キラー「それは…構わないが…

け、結構硬いぞ？」

桜姫という事はわかっているが、以前掴んだ恋歌の腕の細さを知っている為、逆に折れてしまうんじゃないと心配して引き留めようとしている。

キッド「面白ぇじゃねぇか

そんな腕でどこまでできるかやってみろ」

恋歌の桜姫としての伝説は知っているが、戦闘スタイルを見たとき、肉弾戦はほとんどしていなかった。

もしかすると力は弱いのかもしれないと、キッドは恋歌に場所を譲った。

『今の最高得点は1,500点でしたよね？』

キラー「ああ…どの程度の得点を出せばあのコインがもらえるのかわからない」

『わかりました』




エ「え！？母ちゃんやる気なんだけど！？」

サボ「あ、ほんとだ

おれたちもあと1回ぐらいやっときゃよかったな」

二「どうせ壊せないんだから諦めなさいよ

恋歌でも壊せないなら…この世界の誰にも壊せないだろうし」