店員に教えられた場所に向かっているが、近づくにつれて何かを殴るような音が聞こえてくる。

『どんなゲームなんでしょうね』

ロー「さっきみたいな射撃とかだと有り難てぇが、それだと20年間誰もクリアできてねぇ説明ができねぇ…」

『たしかにそうですね…』

20年間も誰もクリアできていないゲームとはいったいどんなものなのだろかと、こそっと顔をのぞかせれば、なぜかかなりの人数がいて盛り上がっている。

ロー「…あいつらもここに来てたんだな」

『みたいですね』

まだこちらの存在に気づいてはいないが、ハートの海賊団もキッド海賊団も、なぜか白ひげ海賊団も複数人いる。

どのようなゲームなのか様子を見ようとしばらく離れたところで見ていたが、ゲームの内容は至極単純だった。

ロー「つまり力の強さで点数が出るあの機械を殴って、高い点数を出せばいいってことだ」

『高い点数、って何点なんでしょう』

集まっている男たちは屈強な男たちが多く、幾度もチャレンジをしているが、叩きだされる点数は1,000点程度が最高。

100点でも、1,000点でもクリアではないということは、いったいどれだけの点数を出せばいいのかと純粋な疑問をぶつける。

ロー「…さぁな

行ってみるか」

『はい』

一先ずチャレンジをしてみるかと、隠れていた場所から姿を現せば、一番最初に気づいたのはハートの海賊団だった。

ペ「あ！キャプテン！

どこ行ってたんですか！」

ロー「ああ…ちょっとな

お前らここでなにしてる」

シ「キャプテンが欲しいかなって思って、おれらこれに挑戦してたんですけどなかなか…」

記念コイン集めが趣味という事を知っているハートの海賊団は、船長であるローの為にゲームをしていたらしいが、高得点は出せていないらしく、しょんぼりと落ち込んでいる。

ベ「ジャンパールですら1,000点いかなかったんだ…」

ロー「そりゃまた…厄介なゲームだな」

おそらくハートの海賊団で純粋な力では一番力のあるジャンパールでも、その点数しか出なかったのかと少し驚いた表情をしている。

ペ「能力なしでチャレンジってのだけがルールで、後はあの機械を殴るだけなんすけど…」

シ「能力使ったらカウントされない不思議な機械なんですよ」

ロー「…あいつらでもだめだったのか」

ちらっとまだチャレンジしているキッド海賊団と白ひげ海賊団に視線をやると、シャチとペンギンが首を横に振る。

ペ「おれらしばらく前からここにいるんすけど、それでも最高得点は1,500点ぐらいで…」

シ「おれたちなんか500点ぐらいが限界でしたよ…」

ロー「そうか…」

何かを考えるように黙り込んでしまったローは、どうにかして手に入れる方法はないかと悩んでいる。

『…ローさん』

ロー「なんだ」

くい、と繋いでいる手を引けば、すぐに視線を合わせてくれた。

『一つ、お願いがあるんですけど…』

ロー「言ってみろ」

『わたしに、パンチの仕方、教えてもらえませんか？』

ロー「…は？」

身長差で上目遣いで見つめてくる恋歌に、叶えられるお願いであれば叶えてやろうと思っていたが、お願いの内容は全く予想していなかったことでぽかんとした顔をしてしまった。