今まで歩いていた方は遊びの催しが多かったが、反対の道は落ち着いた雰囲気があり、いかつい海賊たちはあまりいない。

ロー「はぁ…

こっちの道の方が落ち着くな」

『わたしは騒がしいのも好きですけどね』

ロー「…そうか」

ローの中で騒がしい人物代表であるルフィの母親で、大所帯の白ひげ海賊団に所属していれば騒がしい環境にも慣れるだろうと、少し納得してしまった。

しばらくぶらぶらと歩いていると、ふとあるものが目に入り、ローが足を止めた。

『どうかしました？』

ロー「…いや」

ローの視線の先をたどれば、店先にいろんなコインが並んでいる店がある。

ロー「少し見ていいか」

『もちろんです』

何度か見た事のある少年のような目をしたローは、恋歌の手を引いて並んでいるコインを眺める。

『きれいですね』

上等な箱に入れられているコインは、様々な絵が描かれており、中には宝石まで埋め込まれているコインもある。

ロー「これはある島の国王が終戦の記念に作った物で、こっちはある国の王族が成人した記念に毎回作られる物だ」

『詳しいんですね』

ロー「…コイン集めが趣味でな

ここにあるものはほとんど持ってる」

『へぇ…』

初めて知ったローの趣味だったが、大切そうにコインを扱う手を見て、恋歌も近くにあるコインに手を伸ばす。

『この島だけにしかないコインもあるんですか？』

「ああ、この島のコインは普通に流通してるのと、限定モノがある」

恋歌が店員に話しかけると、その内容に反応したローが視線を店員に向ける。

ロー「ここでは売ってねぇのか？」

「普通のはここでも売ってるよ

けど限定のはこの店じゃ手に入らない」

普通の、と言って一つのコインをローの前に置き、すっと指を市場の奥の方へ向ける。

それは先ほどまでいた騒がしい場所の方角だったので、それに少し嫌な予感がした。

「この島の限定コインはあるゲームをクリアしたらもらえる

ただ、ここ20年はクリアした奴はいねぇ

だから20年間新しい限定コインは作られてないってわけだ」

ロー「へぇ…」

そう言われると欲しくなるのが海賊の性。

「興味があるなら行ってみな」

ロー「そうする

こいつもくれ」

普通のコインも購入し、店員に場所を教えてもらう。

ロー「少しだけ付き合ってくれるか」

『はい』

ローの趣味の事を知れるのは嬉しい為、足取りが早くなるローに手を引かれ、恋歌はそれに遅れないように少し小走りで着いていく。